【詳細データテスト】メルセデスAMG Sクラス 強力なPHEV ハンドリング良好 快適性は犠牲に

公開 : 2024.10.26 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★★☆☆☆☆

広い意味で言えば、S63はこの上なく洗練されている。もっともリラックスした状態では、苦のないふわふわした乗り心地で、キャビンのマテリアルも心地よく、上質感を際立たせている。運転席からの視認性も非常にいい。

そうはいっても、AMG化は明らかに、Sクラスの眠気を誘うような性質を損ねている。大きなホイールとパフォーマンス志向のタイヤやサスペンションブッシュはノイズを大きくしている。とくに、荒れた路面ではそれが出てしまう。

AMG名義のSクラスとしては、速さと静粛性のバランスは歴代最高レベルだが、高級サルーンとしては騒音も乗り心地も気になるところだ。
AMG名義のSクラスとしては、速さと静粛性のバランスは歴代最高レベルだが、高級サルーンとしては騒音も乗り心地も気になるところだ。

113km/hで68dBAというのは、ベントレーフライングスパーの64dBAには見劣りするし、2022年にテストしたS580eはさらに静かな62dBAだ。セカンダリーライドも標準以下で、この手の高級サルーンでは普通は気にならないような路面の穴やマンホールなどを吸収できない。

これは長年にわたりAMG版Sクラスの悩みどころで、速さと静けさのマリアージュは歴代ベストだが、完全に納得できるまでには至らない。

記事に関わった人々

  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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