ポルシェ911 GT3、ターボ化も電動化もしたくないが「あと2年」で限界に… 開発者の苦悩

公開 : 2024.11.01 06:05

ポルシェ911 GT3に搭載される自然吸気の4.0L水平対向6気筒エンジンは、2026年の排出ガス規制を前に、ターボ化または電動化を余儀なくされている。現在の形を維持できるのはあと2年だという。

2026年の排出ガス規制に準拠できず

ポルシェのGT部門責任者であるアンドレアス・プレウニンガー氏によれば、最高出力510psを誇るポルシェ911 GT3の自然吸気フラット6は、ターボ化も電動化もされずに販売されるのはあと2年程度だという。

この4.0L水平対向6気筒エンジンは2018年デビューの「991.2」世代からGT3に搭載されており、911 S/T、911 GT3 RS、718ケイマンGT4 RS、718スパイダーRSにもさまざまなチューニングで使用されている。

ポルシェは10月19日に911 GT3の改良新型を発表した。
ポルシェは10月19日に911 GT3の改良新型を発表した。    ポルシェ

過給器やハイブリッド要素を備えていない2つのポルシェエンジンのうちの1つであり、もう1つは、718ケイマンGTS 4.0と718ボクスターGTS 4.0に搭載される4.0Lフラット6だ。

しかしプレウニンガー氏は、現在の形ではますます厳しくなる排出ガス規制に準拠できないため、改良新型911 GT3(10月19日発表)がその最後のモデルになる可能性を示唆している。

2026年から適用される新基準ユーロ7について、プレウニンガー氏はAUTOCARにこう語った。「法律が施行されなければ、永遠に生き続けることができます。電動化やターボなしでユーロ7に対応できるとは思えません。(現状では)あと2年はこのクルマを売ることができますが、市場次第です」

911 GT3における1つの解決策は、911 GTSで採用されている新しいハイブリッドシステムのバリエーションに変更することだろう。3.6Lターボエンジンと電気モーターを組み合わせ、最高出力480psを発揮するものだ。ライバルとなるランボルギーニフェラーリは現在、すべてターボかハイブリッドのパワートレインを採用している。

しかし、プレウニンガー氏によると、GT3とGTSでは使用状況が異なるため、別のパワートレインが必要だという。

「GTSにとって、これは素晴らしい(パワートレイン)です。ストレートではGT3と同じくらい速いし、スタートダッシュではもっと速いかもしれない」

「ですが、そこは気にしていません。GT3にとってストレートとは、2つのカーブのつなぎ目なんです。このシステム自体は、スポーツカーを電動化するための正しいアプローチですが、GT3で使わないのには理由があります。標準のカレラに搭載されているトランスミッションであるPDK IIを使う必要があるのですが、これは “スポーツ” PDKよりも20kg以上重いのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    英国編集部ライター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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