FERRARI UNDER THE SKIN(フェラーリ・アンダー・ザ・スキン) 英国的フェラーリ観

2017.11.15-2018.4.15

デザイン・ミュージアム・ロンドンで外側からは分からないフェラーリの歩み、シャシーやエンジンのメカニズム、そしてデザインの開発から推移を解説した企画展です。小規模ながら密度の濃い企画内容で、4月15日まで開催されているのでまだ間に合います。

text & photo : Kunio Okada(岡田邦雄)

デザイン・ミュージアムならでは ユニークな視点のフェラーリ

美しさのセンスにおいて、あえてダサい選択をしているのかと訝しく思われるのが英国のデザインの傾向だったが、テレンス・コンラン卿らの尽力により英国のデザインが洗練への道を歩むようになった。また不味いと定評のあった英国の食事もゴードン・ラムゼイら新世代のスター・シェフの登場により美味求心への道が開け、英国もかつてのイメージを払拭する努力をしてきたようだ。

コンラン卿の肝いりによりテームズ河畔にデザイン・ミュージアムが出来てから30年近くが経過し、一昨年暮れにはロンドンの中心から西方の、V&Aミュージアムやサイエンス・ミュージアムも近くにあるケンジントン(東京でいえば青山あたりか)に移転して、規模も活動の内容もパワーアップされた。

そこで昨年から今年の4月にかけて、デザイン・ミュージアムならではのユニークな視点でのフェラーリ展が開催されていると聞いて訪れてみた。タイトルは「FERRARI UNDER THE SKIN 」と、いかにも英国的な表現で、イタリア人やフランス人のセンスとは明らかに違う。

デザインとメカニズム 密接な関係

デザイン・ミュージアムは何より啓蒙の場でもあるので、フェラーリの紹介に真面目に取り組み、エンツォ・フェラーリとはどういう男だったのか、というエンツォの生涯と功績の紹介から始まる。次にカロッツェリア・ピニンファリーナを主としたデザインの紹介と、そのデザインがいかに内部のメカニズムと密接な関係、さらにエアロダイナミクスを考慮して完成に至るのかが開示される。

ちょうど、ここを訪れる1週間前にトリノで、275GTBからF40までのフェラーリのデザインに関与したレオナルド・フィオラヴァンティ氏と久闊を叙したが、その時も、自分はデザイナーではなく、エンジニアであると力説していたものだ。つまり、フェラーリにおいてはそのスタイルもエンジニアリングの一環であり、機能美そのものということだ。

往年の特注モデル展示

デザイン・ミュージアムが現在掲げるコンセプトは、メーカーとデザイナーとユーザーという3者の関係であるゆえに、そういう切り口から顧客のために特別な仕様で作られたフェラーリや、ロベルト・ロッセリーニとイングリッド・バーグマン、ブリジット・バルドーらから注文されたフェラーリの紹介もされていた。

そして、最後にフェラーリの本質であるレーシングカーとその活動が紹介され、現在から未来に向かって走り続けるフェラーリの姿勢が示される、という小規模ながら、密度の濃い企画内容であった。

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