英「覆面調査」ビジネス 自動車ディーラー専門も 同行で実態さぐる
公開 : 2018.03.21 11:40
「覆面調査員」を擁するビジネス
オートモーティブ・インサイツというその会社は、この業界の第一人者。自動車産業のみに関わるのはここだけだ。登録された6000人の「覆面調査員」の中から常時300人が調査をおこなっている。調査員には独身/カップル/家族持ち全てが含まれ、年齢は17〜76歳、1日に5軒もたずねてくれる。ほとんどがポケットにビデオカメラを忍ばせ、ボタンの穴から小型レンズをのぞかせて店をおとずれる。
セールスや整備担当者の対応をみるのが目的なので、彼らは単刀直入にふるまう。オートモーティブ・インサイツの設立者で最高業務責任者のジョナサン・ファーミンはいう。「最高の覆面調査員は老年の男女です。自分の感情は表に出しませんし、しかもセールスや整備士のほうをうまく感情的に仕向けますからね」
ショールームと同じく、整備部門も接遇とは無縁の領域だ。あらかじめこちらがクルマの症状と訪問の時間を電話で伝えておいたとしても、整備担当者はコンピューターの画面に首っぴきだったりするのだから。
ところで、整備部門の覆面調査にはカメラだけでは不十分だ。なぜなら、クルマを点検してもらわないといけないから。もしクルマに故障がなかったら? 問題ない。ちょちょいとでっち上げておけばいい。
まず、クルマのコンピュータとキーのメモリーチップを初期化し、エラー履歴を消しておく。エンジンオイルに色素を混ぜて古く見せかけ、乗りっぱなしを印象づけることもある。タイヤの空気圧もめちゃくちゃにしておく。エアフィルターも汚いものに交換する。
仕掛けがばれないように、オイル注入口まわりにこぼれたオイルや、色素やタイヤのエアバルブキャップについた指紋などはふき取っておく。