新旧ブガッティ対決 ドイツ産ヴェイロン vs イタリア産EB110 回顧録
公開 : 2019.01.05 07:10
究極のスーパーカー
その一方で、皆さんが想像する以上に共通点も存在している。どちらもカーボンファイバー製のバスタブシャシーの上に構築され、気前いいくらいに多くの気筒を並べたマルチバルブのV型(あるいはその変形)エンジンをミドマウントし、さらに4基のターボチャージャーによる過給で凄まじい出力を実現している点などがそうだ。
そのほかにどちらも四輪駆動であり、その時代における究極のスーパーカーを目標として作られたクルマであるところも共通している。現役時のEB110はフェラーリF40やポルシェ959、それにジャガーXJ220などと比較されるクルマだったのだ。
ヴェイロンの開発はフォルクスワーゲンにより、完全に白紙の状態から行われた。しかし、1998年にブガッティの商標権を買い取り、この史上最強のスーパーカーを作るミッションに着手するにあたって、ウォルフスブルクは決してEB110を無視していたわけではない。事実彼らは、それまでブガッティが開発用に使用していたEB110 SSのプロトタイプを買い取っている。
ヴェイロンのほうがはるかに高い目標を掲げていただろうことに疑問の余地はないにせよ、しかし彼らはEB110もまた究極のクルマだと認識していたからだ。ただ、注ぎ込まれた先進技術の飛躍ぶりが桁違いなだけである。VWのフェルディナント・ピエヒがヴェイロンに与えた技術の途方もなさに比べたら、EB110に投じられたそれは数歩の前進でしかなかったと言えるだろう。