ボディ肥大化の功罪 理由は安全基準/食生活 ドライバー心理も影響 限界は近い?
公開 : 2019.08.04 18:50
ドライバーにも原因 メーカーの大盤振る舞い
だが、駐車のたびに悪戦苦闘しているようなドライバーにとっての希望もあるのかも知れない。
いたるところで、大きすぎるボディの弊害が明らかになり始めているだけでなく、CO2排出量を削減し、EVの航続距離を延ばすには、ボディサイズの縮小は必要不可欠な対応であり、フロント面積の拡大による空気抵抗の増大は燃費性能を悪化させるが、よりシンプルで繊細なデザインは、エネルギー効率を引き上げてくれる。
そして、ボディ肥大化の責任は自動車メーカーだけにあるわけではない。車両の大きさを誇るようなドライバーの心理が、その原因のひとつでもあるからだ。
さらに皮肉なことに、自動車メーカーは過去70年、ひたすらドライバーにより安価なコストで豪華なモデルを提供し続けてきた。
激しい市場の競争の結果、モデルチェンジをしても大幅に価格が上昇することはなく、その結果、われわれは新型が登場するたびに、同じ金額でより多くの鉄やガラス、プラスチック、ファブリック、そしてゴムといった材料を使ったモデルを手にしてきたのだ。
さらに、同じ1インチ(約3cm)でも、全長よりも全幅を広げるほうがはるかにコストが掛かっている。
全長を延ばしても、使用する鉄やカーペット、塗料やガラスの量はそれほど変わらないが、全幅を拡げるには、ダッシュボードや衝撃吸収ボディ、ホイール、タイヤ、サスペンションアームなどといったものも同じように拡大する必要がある。
つまり、マテリアルコストという観点から言えば、自動車メーカーのお陰で、われわれは大盤振る舞いを楽しむことができて来たのだ。