サードパーティ製パーツの真実 性能は純正以上? DIYもコストダウンのカギ
公開 : 2019.11.17 18:50
調査が大事 開発は慎重に
こうしてマニングスはオンラインでこのステンレス製リングの販売を始めることになったのだが、この部品はいまもX8Rの主力商品のひとつであり続けている。
さらに他のモデルの同じようなトラブルも調べてみると、オーナー同士のフォーラムやメカニックとの会話を通じて、すぐに新たに対応すべき不具合部品の情報が集まってきた。いまX8Rでもっとも売れているのも同じトランクのロック部品だが、今回は日産の初代キャシュカイ(日本名:デュアリス)向けだ。
マニングスは、「注意して見てみれば、トランクリッドのハンドルをダクトテープで固定したキャシュカイが多く走っていることに気付くでしょう。マウントの強度が足りないためにすぐに折れてしまうのです」と話す。
「純正部品を購入するには70ポンド(9300円)が必要ですが、さらに塗装費用が掛かるうえ、いずれ同じように破損してしまいます。オリジナルパーツの問題を克服するためのキットを販売していますが、より強度を増したこのキットの値段は18.90ポンド(2500円)です。毎日10ケは売れています」
簡単な話のようだが、この完ぺきな部品を創り出すには9カ月もの期間が必要だったのであり、X8Rの社内にはテストと測定を行うために古いクルマから取り外した部品が散乱している。
顧客は英国外にも
いま机の上にあるのはヴォクゾール・アストラのドアミラーだが、新しく3Dプリンターで作成した試作品のカバーとの組み合わせをテストしているところだ。
ヴォクゾールがこの簡単に壊れてしまうアウターシェルの下半分は販売していない一方、この部品を必要とするひとびとは確実に存在している。
次なる改良部品はフォード・ギャラクシー用サイドブレーキのアッセンブリーパーツだ。X8Rが35ポンド(4600円)で販売している部品を使えば、切れたケーブルを30分で交換することが出来るが、ディーラーで取り扱っている不具合を抱えたままの純正パーツを使った場合、丸一日掛かりの作業となる。
X8Rではふたりが設計を担当しており、テストが行われる前に各部品は3Dプリンターで試作が行われる。その後、世界中にある協力工場でX8Rのスペックに基づき製作が行われるとラムズゲートへ向け発送されることになる。
彼らの顧客は英国内に留まらない。マニングスは米国と南アフリカの代理店へと発送されるX8Rの社名が記された木箱を指さす。
その中味はBMW用の鋳鉄製エグゾーストマニフォールド(オリジナルのクラックが生じやすいステンレス製の対策部品だ)と、ランドローバーとアウディのモデル向けエアサスポンプ用改修キット(このキットは15ポンドで購入可能だが、ディーラーでは300ポンド強で新品のポンプを購入することしかできない)だ。