【本当に大丈夫?】オペルの日本再上陸 浮かぶ4つの疑問 求められる正攻法の事業戦略
公開 : 2020.02.22 13:51 更新 : 2021.10.09 23:55
フォード/VWが競合=括りがわかりにくい
今回の日本市場再上陸の記者会見で、グループPSA側が、ドイツなど欧州では、オペルのライバルはフォードとフォルクスワーゲンであり、顧客はその3ブランドを回っているイメージ、と説明している。
こうした状況を、日本で理解することは極めて難しい。これが第三の疑問である。
VWとの比較は、なんとなくわかると思うが、問題は、日本市場から撤退したフォードだ。
この場合、欧州フォードを指し、実態はドイツ・フォードだ。フォードはアメリカ企業であり、北米市場でのビジネスはピックアップトラックのFシリーズがメイン。
乗用車の開発についてはドイツ主体という流れがある。こうした米独フォードの振り分けに、日本人は馴染みがない。
そのため、オペルのライバルは、フォードを抜きにして、VWとなる。
だが、一般的な日本人は、オペルはVWより「格下」と見ている印象がある。
まあ、15年ぶりの日本再上陸となれば、オペルブランドをまったく知らない人は当然多く、またはGM時代当時に日本版オペルに全く興味がなかった人も大勢いる。
そうした中で、日本におけるオペルブランドの再構築が必然となるのだが、いまのところ、オペルサイドの推しはけっして強くない。
2021年再上陸に向けて、どのような仕掛けが待っているのか?
リセールバリューを改善できるのか?
4つ目の疑問は、リセールバリュー(下取り価格)のコントロールだ。
新車販売台数を伸ばすために、最も重要な対策は、リセールバリューの引き上げだ。これによって、新車時の値引き額が抑えされ、ディーラーの収益が改善する。
具体的な対策としては、認定中古車を確実に増やして、クオリティの高い年式の新しい中古車をしっかりと新しい顧客に提供できるエコシステムを構築することにある。
現状、輸入車で認定中古車戦略が成功しているのは、数千万円級の超高級車ブランドが多い。
グループPSAとしては、近年のシトロエン、プジョーの新車販売好調を受けて、リセールバリューのコントロールに伴う、ディーラーの整備、販売、接客などの基本業務の改善を進めてきた。
オペルブランドとしても、こうした正攻法でのディーラー網改善は最低条件だと思う。
そのうえで、前述のような「日本でのオペルブランド構築の難しさ」を逆手に取るような、思い切った事業戦略が求められる。
周知の通り、日本での輸入車ディーラーがおかれている状況は近年、大きく変化している。
そうしたなかで、「新生オペルを扱って本当に良かった」とディーラーが心底喜び、その気持ちがユーザーに直結するような、オペルならではの日本市場戦略に期待したい。