【進む巨大化】クルマの大型化を止めるには 

公開 : 2020.07.17 05:50

ここ数十年の間、道路や駐車場の大きさは変わらないのにクルマのサイズは大型化を続けて、取り回しに不便さを感じることも多いでしょう。クルマの肥大化の理由と、それを止めるためにはどうしたら良いのかを考察してみました。

車格を超えた大型化

text:Matt Saunders(マット・ソーンダース)

自宅の狭いガレージに駐車するときやホイールに傷をつけないように慎重に機械式駐車場のパレットに収めるときなど、最近のクルマが大柄になっていることに気づかされる場面は多いだろう。

クルマのサイズはクルマ好きやAUTOCARの読者のみなさんにとって大きな関心事だろう。最近のクルマたちは、それを走らせる道路の幅や駐車場のスペースに対して大きくなりすぎではないだろうか。

レンジローバーSVR
レンジローバーSVR

例えばレンジローバーは1970年に登場した初代に比べ、現行モデルでは標準仕様でも200mm広く、550mm長い。フォルクスワーゲン・ポロは初代ゴルフよりも明らかに大きい。そして現行BMW5シリーズは2003年のロールス・ロイスファントムをミラーを含めた全幅で上回るのだ。

しかし、クルマの巨大化を促進する要因となった事柄は、この50年間で変わっておらず、今後もこの傾向は続くと見られている。そこで今回、クルマの大型化を止める方法を10個ご紹介しよう。

アクティブ・セーフティのさらなる進化

ここ25年間にわたるクルマの大型化、重量化の最大のカギとなっているのが安全性だ。ユーロNCAPをはじめとした評価制度により、パッシブ・セーフティが重要なセールスポイントとなったのだ。

当然のことながら、安全なクルマがより良いということは議論の余地がないだろう。クルマの構造強度が高められるとともに、クラッシャブルゾーンを設けることにより乗員や歩行者を事故の衝撃から守るようになっている。

パッシブセーフティの追求
パッシブセーフティの追求

しかしこれからの20年の技術進歩によりアクティブ・セーフティが充実すれば、パッシブ・セーフティはそれを補う形になるだろう。

多くの新型車にセンサーや危険を検出する装置が取りつけられることにより、事故を防いだりその被害を軽減することができるようになっている。クラウドを用いた通信技術により、ドライバーの疲労や体調不良を検出し自動的に停車させることも可能になっているのだ。

自動運転や車両間ネットワークの発達により、「事故」が過去のものとなるのはいつだろうか。10年後か20年後、その先になるかもしれないが、その時がくればパッシブ・セーフティに求められる水準はいくらか緩和されるのではないだろうか。

クロスオーバーやSUVを減らす

大きく背の高いクルマがより安全であることは疑いの余地がないが、クロスオーバーやSUVの人気が高まっていることも重要な理由の1つだろう。

これは次の「大きな流行」が来れば解決されるものだと考える。必要以上に大きく重く複雑なクルマを選ばなくなる時期がいつか訪れるだろう。

SUV人気の高まり
SUV人気の高まり

これは従来型のサルーンやハッチバックに戻るということに限らず、それとは異なる新たな選択肢が登場するかもしれない。

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