【進む巨大化】クルマの大型化を止めるには
公開 : 2020.07.17 05:50
誤った理想を捨てる
これはロードカーのエンジン開発やパフォーマンスの追求を担当するひとには耳の痛い話かもしれない。しかし市場がファミリーハッチバックの速さやダイナミックさの追求、またインフォテインメントシステムの機能充実を追い求めることを諦めれば良いのである。
これによりデザイナー、エンジニアそれに経営陣は本当に必要なものに集中することができる。それはユーザービリティ、ドライバビリティ、そして効率性と合目的性だ。
こんな誤った理想への固執は、製品マーケティング部門が主導しているのだろう。ライバル車よりも優れた点を打ち出そうとして、誤った方向に進んでいるのではあるまいか。
真の才能、創造性、それに先見性があるひとなら、この方向性を変えることができるだろう。
若年層に目を向ける
自動車業界の最大の失敗の1つとして、20代や30代の顧客を取り込むことができていないという点が挙げられる。
もちろんこれには高額な保険料や車両本体の購入に関する経済的な障壁から中古車に流れているという原因も存在する。
しかしより小型で都市向けの電気自動車が格安の走行コストでカーシェアリングもできるとなれば、若者を取り込むこともできるだろう。
これを実現するためには、燃料や電池の問題を解決するのが先決だ。
税制改革を推進する
大半のクルマが電動となり、それに対応するインフラも整えば、この話は簡単だ。CO2排出量に対応する課税に加え、燃料への課税も行われることになる。
電気に対する課税も検討されてはいるが、これはクルマによる道路やその他環境に対する負荷に見合わなくなるのではないか。例えば洗濯機もクルマも一律にkWhあたりの税金が課せられるようになるのだろうか。
そうでないとしたら、多くのEVオーナーが家庭で充電するという実態において、どのように課税するべきなのだろうか。ましてや自宅のソーラーパネルで発電した電気に課税するのはおかしいだろう。
これが英国において現行の税制を道路の使用に対する課金で置き換えようとする理由だ。これはプライバシーや整備にかかるコストという問題を抱えている。しかし車両の大きさによって道路の占有量が違うことや、車重による道路へのダメージの差を理由に使用料を差別化することができるだろう。
小型車のランニングコストが低下すれば、必然的に需要と供給のバランスから車両の小型化が進むだろう。
世界のエネルギー市場を公正に
環境保護論者がいうように地球温暖化が進んでいる理由の1つとして、化石燃料の価格がその消費によるコストに見合っていないことがあげられる。
ガソリンの価格が採掘、精製、輸送のコストだけでなく、その使用により排出されたCO2を取り除くのに必要なコストまで含むとしたら、その価格は現在の何倍にもなるだろう。
そうなったら個人のドライバーや運送業界、それにエアラインなどは代替燃料の使用を検討するようになるはずだ。
もちろん現在の世界経済は利益や税収を元に成り立っているのは事実だ。しかし、化石燃料の価格が今の数倍になるようなことがあれば、内燃機関を搭載するクルマはより小型軽量で効率性の高いものになるのではないか。