【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフ より洗練された走り 内装の質感はやや後退 リアのマルチリンクは走りにも快適性にも有効
公開 : 2020.08.01 11:50
意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆
8代目ゴルフは、パリッとアイロンの効いた服のような仕立てを目指した。ボンネットからボディサイド、リアエンドに至るまで、シャープな折り目や特徴的なプレスラインが、トラディッショナルでシンプルな歴代モデルよりも数多く目に付く。
これは、ドイツ車ブランドの多くが、製造クオリティの技術的な精密さをルックスで主張しようとする際に多用する方法だ。少し凝り過ぎにもみえるが、ほとんどのテスターの意見は、絶対的に否定するというものではなかった。
ただし、あるテスターは、エッジの効いたモデルが多いこのクラスで存在感を際立たせようという意図がはっきり見て取れるが、むしろ逆効果ではないか、と皮肉まじりに評した。
全長は3cmほど伸びているが、そのほかの寸法は先代モデルとほぼ変わらない。プラットフォームは、やはりスティール素材を用いたMQBをベースに、アップデートが図られたバージョンだ。
サスペンションも先代と同じく、四輪独立懸架とリアにトーションビームを用いる仕様とが用意される。後者は、150ps未満のエンジンと組み合わされる。コイルスプリングと固定レートのガスダンパーが標準装備されるのも同様だ。
ステアリングは、切り足すほどにギア比がクイックさを増す可変レート式ラックを装備。これもゴルフVIIに見られたデバイスだが、このゴルフVIIIではアッパーだけでなくロアーもクイックになった。
サスペンションはどの仕様でも、全体的にレートが高められた。サブフレームやリンク、ブッシュも新設計され、配置も見直されている。
DCCことアダプティブダンパーは、上位グレードに用意されるオプションで、よりいっそう機能を高めたという。ボディの動きを抑えて乗り心地を向上させるため、自動的に硬軟を切り替えるのはもちろんだが、この新型ダンパーはコーナリング時に左右独立して調整し、ハンドリングのレスポンスを高める。
XDSこと電子制御トルクベクタリングともネットワークを効果的に形成し、より円滑な協調を図る。それとは別に、特定の状況で快適性を高めるため、きわめてソフトでシステムを分断するモードも設定される。
エンジンのラインナップは、109psの1.0L直3ターボにはじまり、1.5L直4ターボのTSIエヴォが数機種。そのうちひとつには7速DCTと48Vマイルドハイブリッドアシストが組み合わされる。さらに、2.0LディーゼルのTDIは115psと150ps。今後はおなじみのGTIや、GTD、GTE、Rといったバリエーションが追加される予定だ。
今回のテスト車は、150psの直4ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせる1.5LのeTSI。残念ながら、フォルクスワーゲンが貸与してくれた車両は、アダプティブダンパーなしの個体だった。