【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフ より洗練された走り 内装の質感はやや後退 リアのマルチリンクは走りにも快適性にも有効
公開 : 2020.08.01 11:50
内装 ★★★★★★★★☆☆
物理的スイッチを並べ立てたこれまでのゴルフに慣れていると、新型のインテリアには驚かされるはずだ。いっぽう、ドライビングポジションは毎度ながら完璧な配置で、ひたすらまっすぐな、ほどほどの高さだ。中間グレードのスタイルが備えるシートはほどよくサポート部が張り出し、頼もしく心地よい。
いっぽうで目新しい部分もある。ステアリングホイールの向こう側、メーターパネルとインフォテインメントディスプレイの周囲は、グロスブラックのプラスティックパネルが張り巡らされる。また、全体的なまばらさもこれまでにないものだ。
テクノロジーの先進性は、新型ゴルフの売りのひとつ。英国仕様は全車とも、10.0インチのインフォテインメントディスプレイとフルデジタル計器盤が標準装備。4万ポンド(約560万円)級の上級車でも、ここまで気前のいいものはそう多くないが、それが2万5000ポンド(約350万円)程度のモデルにも与えられるのだ。
これらを見て、フォルクスワーゲンがテスラのような方向性を目指そうとしてるのではないか、と心配になるのではないだろうか。送風の内外気切り替えからドライバーズエイドまで、すべての操作系をセンターディスプレイに統合するのではないかと。実際、このクルマを目にしたら、そうなったと思うひともいるだろう。
とはいえ、数少ないながらも残された実体スイッチ類と、静電容量式タッチ操作部はうまく配置されている。また、ステアリングホイールのスイッチ類と、表示の設定を変更できるメーターディスプレイの恩恵もあって、オーディオのミュートのようにシンプルな操作は1度か2度のタッチで済ますことができる。
VW最新のインフォテインメントシステムであるMIB3は、間違いなく慣れが必要だ。だが、操作を覚えてしまえば、機能性も便利さも並ぶものがほとんどないほど存分に発揮されているとさえ感じられる。
対照的に、ゴルフが長年にわたり育んできたはずの定評ある質感が、今回は十分ではなかった。スイッチ類が少ないので、このクルマが目指した魅力的な手触りを試す機会はあまりないのだが、それを差し引いてもインテリアがチープだと感じることはないのはたしかだ。
それでも、硬いプラスティックが使われている箇所は、これまでのゴルフよりやや多く見つけられる。その上、モールドのザラついたところも多少ある。
キャビンの広さはおおむね先代と変わらない。大柄な大人が後席に乗ってもとくに問題はなく、ラゲッジルームは大きめの荷物も積み込める。
とはいえ、クラストップレベルの広さというほどではない。それほど大きくない車体から想像する以上のスペースを備えるという、ゴルフお得意のトリックは健在、といったところだ。