【詳細データテスト】フォルクスワーゲン・ゴルフ より洗練された走り 内装の質感はやや後退 リアのマルチリンクは走りにも快適性にも有効
公開 : 2020.08.01 11:50
走り ★★★★★★★★★☆
フォルクスワーゲンは、マイルドハイブリッドにMTを組み合わせることはないだろう。ともあれ、今のところ設定されているのは、1.5LのTSIエヴォの高出力版とDCTをベースにした仕様のみだ。
おそらく、これは賢い選択だろう。というのも、先だってテストしたフォード・プーマには、MTのハイブリッド車ならではの問題点がみられたからだ。
そのプーマは、エンジンブレーキ時にエネルギー回生を行うマイルドハイブリッドを備えていたが、クラッチとブレーキにドライバーの操作が加わることで、オートマティックな作動よりも多くのクセが、ドライバビリティに影響を与えてしまっていた。
また、その評価は、フォルクスワーゲン のエンジニアたちに対する脱帽の念の表れでもある。彼らはこのエンジンとギアボックスのインストールとチューニングにおいて、みごとな仕事をしてみせた。
予想どおりのスムースな運転に寄与し、モーター走行ほどではないが静かに回る。また高いギアでの低回転時にも想像以上にトルクがあり、使いやすい印象だ。
8代目ゴルフのパワートレインのなかでも、洗練度で選ぶなら間違いなくナンバーワンだ。おまけにかなり楽しく、それでいて燃費もなかなかのものだ。
ハイブリッドパワートレイン特有のクセもかなり抑えられている。低回転域でのパフォーマンスは、GTIの下位仕様といったところで、額面上のトルクは25%ほど高い。ただし、4500rpm以上での回りかたは、GTIのようにはいかないが。
走行中に15km/h程度の加速をするのはじつにたやすい。それが高いギアで、ほどほどにペダルを踏み込んだ場合でもだ。
エンジンは、可能とあればシャットダウンする。たとえば巡航時の下り勾配や、ナビゲーションシステムのデータから15秒程度はスロットルを開く必要がないとECUが判断した場合などだ。
また、ジャンクションが接近してスローダウンしたときにもエンジン休止を行うが、その際には適切なタイミングで自発的に回生ブレーキを効かせて減速するので、やや直観的ではないところがある。
DSGギアボックスは通常よりやや多くの仕事を課されるので、マニュアルモードでの変速はほかのモデルよりもややスロー。Sモードでは、急加速時に各段をキープする時間がしかるべきものよりやや長いが、これはその効果を狙ってのことだろう。
そのほかの点では、中級グレードのパワートレインに期待するものを裏切るところはほとんどなく、逆に称えるべき点は多い。