【ホンダeは独自志向】小さなバッテリー大丈夫? 「70年代シビックのよう」の背景 気になる事業性は
公開 : 2020.08.21 05:50 更新 : 2020.08.21 10:09
エネルギー側に深く関わる姿勢が強い
昨年(2019年)の7月3日、筆者(桃田健史)はホンダeについて、ホンダ幹部らと意見交換をした。
場所は、本田技術研究所(埼玉県和光市)。ホンダが毎年開催している、一部報道陣向けの技術説明会「ホンダミーティング」である。
まず、同社の三部敏宏社長は、「ホンダが目指すエコシステム」という概念について話した。
その中で、「移動(モビリティ)とエネルギー」が循環する社会システムを示した。
EVについては、自動運転、自動送迎、自動充電、またクルマと電力網が連携するV2G(ビークルトゥグリッド)という、モビリティサービスという領域で捉えた。
エネルギーとは再生可能エネルギー発電や、定置型バッテリーなどのエネルギーバッファが担う。
ホンダにとってのEVは、様々な移動手段とエネルギーをつなぐ架け橋という位置付けだ。
こうした考え方は、基本的には日産も同じだが、ホンダの場合、エネルギー側に対して自社として深く関わる姿勢が強い。
これまでも、太陽光発電の機器開発企業を興したり、燃料電池車向けの太陽光による水電解での水素ステーションを共同開発したり、超小型車向けの交換式電池パックを共同開発したり。
ホンダはエネルギー側の立場から、電動車に接する機会が多かった。
そうした経験が、ホンダeに反映されている。
具体的なサービス体制はどうなるのか?
このように、ホンダはエネルギーを含めたトータルなエコシステムとしてEVを見て、ホンダeが搭載する駆動用バッテリーの大きさを決めた。
結果的に、バッテリー容量が日産やテスラなどと比べると小さい、ということだ。
ただし、ホンダがそうした独自の世界観を貫くためには、それに見合う具体的なサービス体制が必然だ。
サービスの概念としては、eMaaS(イーマース)なるホンダによる造語があるのだが、その具体的な中身については、まだ不明瞭な部分が多い。
なぜならば、ホンダの事業領域は四輪、二輪、さらに発電機や耕運機などパワープロダクツを扱うライフクリエーションがあり、それら3事業領域で横断的にeMaaSを実施するためには、本田技研工業(本社)と本田技術研究所とのさらに深い連携が必要だからだ。
そうした観点も含めて、今年4月1日からはそれまでも二輪事業に次いで、四輪事業でも量産車について本社主導型体制への移行している。
8月のホンダe発表を機に、日産など他メーカーとはひと味もふた味も違う、ホンダらしいEVを活用した新しいサービス事業の登場に期待したい。
その中では当然、日産と連携する分野も出てくる可能性があるはずだ。