【詳細データテスト】BMW M2 ミドシップ勢に肉薄するハンドリング ハードでもしなやかな足回り 価格と重量には不満あり

公開 : 2020.08.29 11:50  更新 : 2020.09.05 00:00

F22世代の集大成となりそうなM2の進化版は、優れたベース車をさらに磨き上げました。動力性能だけでなく、敏捷性と乗り心地を両立したシャシーもおみごと。ただし、高い価格と、CSLではないことに不満も残りました。

はじめに

BMWの現行ラインナップにおいて、最も重要なモデルは何だと思うだろうか。そう問われて、このクルマの名を挙げるひとびとも多いのではないかと、われわれは考える。M2だ。

必ずしも、今回の最新バージョンであるCSとは限らない。もっとも熱心で気前のいいMモデル信者であっても、7万5320ポンド(約1054万円)という価格は、支払いを躊躇するかもしれないからだ。それでも、M2という括りで考えれば、目が向くことだろう。

テスト車:BMW M2 CS M-DCT
テスト車:BMW M2 CS M-DCT    OLGUN KORDAL

2022年には水素燃料電池版X5の投入が計画され、来年発売予定のEVセダンであるi4はこの時代のBMWにおいてもっとも意義のあるクルマになるかもしれない。そして、前輪駆動モデルの守備範囲は、より大きく重いカテゴリーへと広がりつつある。

そうなったとき、エンスージアストを自認するわれわれは、BMWというブランドに、これまでと変わらぬ強い好意を寄せられるのだろうか。はなはだ疑問だ。

その点、M2には気づかされることがある。このコンパクトなクーペは、直6エンジンをフロントに縦置きして後輪を駆動。望めば3ペダルを選ぶこともできる。これぞ基本のレシピであり、BMWはそれをみごとに実践し続けてきた。

2015年にデビューしたとき、われわれは書いたものだ。M2の前身にあたる、レアでワルっぽく、クールな最新技術を満載した1シリーズMクーペは「BMWがいまも、本格Mモデルを造るにはどのような要素が必要かわきまえているのだと確信させてくれる」と。対するM2についての記述は「その事実をますます裏打ちするもの」としている。

その各要素は2018年にアップグレードされ、M2コンペティションへと発展。よりシャープなサスペンションと、M4譲りの強烈なパワープラントであるS55ユニットを手に入れた。なにより、遊び心を抑えたのが一番のみどころだ。ほしいクルマをリストアップすると、いまだにこれを上位に入れるオートカーのテスターもいるほどの傑作だった。

今回のテスト対象は、F22世代の2シリーズクーペの集大成となるM2 CSだ。おおいにすばらしい出来栄えであるに違いない。CSはクーペ・スポーツの略であり、できればここにライトのLが加わってほしかったところだ。

このサブネームは、最近ではF80系M3/M4に、それ以前には2005年、英国向けのE46型M3に設定された特別仕様車に用いられた。さらに遡れば、60年代のモデルに散見される。

いずれも、当時の速く高価なモデルに与えられたネーミングだったが、運動性能的にはあたりはずれがあった。今回のCSは、はたしてどちらに転ぶだろうか。

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