【詳細データテスト】BMW M2 ミドシップ勢に肉薄するハンドリング ハードでもしなやかな足回り 価格と重量には不満あり
公開 : 2020.08.29 11:50 更新 : 2020.09.05 00:00
走り ★★★★★★★★★☆
このBMWは馬力/車重比が286ps/t。これもなかなかの数字だが、もっとも競合するだろうケイマンGT4は296ps/t、ロータス・エキシージであれば、もっともマイルドな仕様でも300ps/tを超える。
この数値からではわからないのが、M2 CSがほぼどんなときでも爆発的なトルクを発揮する能力だ。といっても、現代の基準からすれば、このクルマは心臓が口から飛び出しそうなほど速いというわけではない。
たとえ2速での48-80km/hが1.3秒、4速では80-113km/hが2.5秒と、なかなかのペースでありながらもだ。だが、いい感じに素早いシフトをする準備はできている。
S55ユニットは力強さと寛容さを兼ね備え、公道での使い勝手に優れる。われわれはMTのほうが好みだが、2645ポンド(約37万円)のDCTはワクワクするほど滑らかでクイックに作動する。ただし、低速での変速は妙に優雅さを欠くのだが。
すなわち、これは驚くほど有能なパワートレインだ。コンスタントにシフトチェンジし、長々とスロットルを開けていなくても、エキサイティングに走ることができる。とはいえ、この直6のサウンドとレスポンスは、ターボユニットであるにしてもちょっとだけ物足りなさを感じる。
純粋なペースをみると、われわれが計測した0-97km/h加速タイムは4.1秒で、オフィシャルデータの0-100km/h=4.0秒にやや及ばなかった。そうはいっても、0-241km/hは510psを誇るメルセデスAMG C 63 Sより、まるまる1秒速い。この速さは、価格に十分見合うものだ。
トランスミッション以外に、走りに大きく関わるオプションとしてはカーボンセラミックブレーキがある。ストッピングパワーに優れているのは疑うべくもない。
それでも、公道上で鋳鉄ディスクブレーキからの性能向上が見込めるかというと、それはあくまで机上論となる。初期の食いつきがやや激しすぎるのだ。だが、その後は鋳鉄ブレーキと変わらず簡単に、効きを調整できるようになる。