【詳細データテスト】スコダ・オクタヴィア・エステート 高まった質感 室内の広さは健在 パッシブサスでも乗り心地上々
公開 : 2020.09.12 11:50 更新 : 2020.09.12 23:20
走り ★★★★★★★☆☆☆
ディーゼルのスコダを選ぶ合理主義的なオーナーにとって、パフォーマンスはフォード・フォーカスSTエステートを選ぶオーナーと同じ意味合いを持つものではないだろう。
テスト車の8.4秒という0-97km/h加速は、おそらくは予想したより速いはずだ。しかし、加速データやスロットルレスポンスは、概して重要ではない。
問題は、高速道路の合流路を流れるように駆け抜け、速い車列へ安全に合流できるかどうかにある。それも、4名乗車に人数分の荷物を積んだ、およそ1900kgほどの重量を背負った状態で、だ。
また、エンジンに過負荷をかけず、不安定で精彩を欠く走りになることなしに、A級道路で追い越しをこなせることも求められる。
つまり、オクタヴィア・エステートは、速いものである必要はないが、明らかに遅いと感じさせてはならないクルマなのである。というのも、この手のワゴンは便利で使い勝手のよいものであることが必要だからだ。
それを実現するため、スコダの2.0Lディーゼルは新設計のコンロッドやピストンを導入するなど改良を実施。主目的は洗練度アップだとはいうものの、1600rpmから36.8kg-mの最大トルクを発生というスペックを達成した。この数字、新型ゴルフGTIと比べても1kg-mと後れていない。
むろん、最高出力は150ps止まりだが、こうしたクルマで重視されるのはトルクだ。そしてこのオクタヴィアのそれは、イージーに運転できるフレキシビリティを、日々のドライビングへもたらすに十分だ。
比較的ロングなギアリングは、エンジンの推進力がどのあたりで強く発揮されるかを明らかにしてくれる。1500~2800rpmあたりでは、なかなかの速さをみせるのだ。それゆえ、平均的なオーナーが不足を感じることはないだろう。
同時に、その回転域を超えないよう、特段気を付ける必要はない。デュアルクラッチ式トランスミッションは、回転数を下げるためのシフトアップが容易だからだ。
同じエンジンを搭載するゴルフと比べると、遮音が甘いのか、マッピングがわずかに違うのか、いずれにしろ高負荷時のノイズはオクタヴィアのほうが大きい。粗野なほどではないが、スコダが上級移行を目指しているなら、やや不満に感じる点だ。