【詳細データテスト】BMW X7 小型車並みの制動距離 リムジン並みの静粛性 ハンドリングと乗り心地のバランスも上々
公開 : 2020.09.19 11:50 更新 : 2020.09.22 05:54
快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆
コンフォートかどうかは主観が入りがちで、数量的に表すことは難しいかもしれない。だが、少なくとも静粛性は、具体的な数値で評価することが可能だ。
113km/h定速走行時の室内騒音は、かつてテストしたGLS 400dと同じ62dBをマークした。これはかなり静かだといえるレベルだ。これに勝るのは、世界最高クラスのリムジンくらい。たとえば、遮音タイヤを履いたロールス・ロイス・ファントムの計測値は60dB。その差は明らかにわかるものだが、昼と夜ほどの大きな違いではない。
ちなみに、2017年に計測した、ツインターボの旧型V8ディーゼルを積むベントレー・ベンテイガは65dBだった。テスト時点では、豪華絢爛さの権化とさえ思えたクルマだったのだが。
この穏やかで安らぎを感じるところへ、さらに加わるのがエアサスらしい乗り味だ。高速道路の速度域では、オプションのアクティブスタビライザーを切り離すと、申し分ない落ち着きをみせる。波長の長いフローの心地よさは、22インチホイールとMのバッジにそぐわないほどだ。
主として長距離移動に用いるオーナーなら、このクルマを選んだことを後悔はしないだろう。広々としたガラスハウスは、のどかさを感じさせるが、それは感覚だけの話。実際の走りは速い。
残念な点があるとすればひとつだけ、車高調整式サスペンションのトラベルを考慮した上で期待していたほどには、低速での乗り心地が洗練されていないことだ。
このクルマのオーナーは、路面のくぼみを避けるために進路を外れたり、荒れた路面にひるんだりすることはないだろう。しかしこのX7は、そうしたもろもろを扱うのに、レンジローバーやQ7に比べてわずかながらも明らかに苦戦するところがある。