【詳細データテスト】プジョー e-2008 装備内容は充実 可もなく不可もないシャシーと動力系 航続距離は物足りない
公開 : 2020.10.10 16:50
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
SUV的なスタイルのe-2008だが、そのシルエットは厳密にいえばSUVのそれではない。2013年に登場した初代2008はもっと背が高く、ボディパネルは張り出していた。
対する新型は、全長が150mm近く伸びたいっぽうで、全高は25mm低くなっている。ルーフ高を引き下げたのみならず、足回りのスプリングでもローダウンし、ボンネットも低くなったので、Cセグメントのハッチバックといっても通用しそうなフォルムだ。
これが売れれば、ひとびとが欲しているのはガチのSUVではなく、そのDNAを拝借したコンパクトなクロスオーバーだということになる。フォード・プーマあたりがそうであるように。
プラットフォームは、PSAのモジュラーアーキテクチャーであるe-CMP。スティールのモノコックシャシーには、フロントにストラット、リアには横方向のホイールコントロールを向上させるパナールロッドを加えたトーションビームを組み合わせる。
136psの交流永久磁石式モーターと50kWhのリチウムイオンバッテリーは、グループ内の電動モデル各車と共通。駆動輪は前輪のみだ。
ハッチバックのe-208と比べれば、ホイールベースは65mm長い。またエンジン車の2008に対し、公称重量は250kgほど上回るが、ミルブルックのテストコースで計測したテスト車の実測値はさらに100kgほど重かった。
かつてテストしたキアe-ニロやヒュンダイ・コナ・エレクトリックは、このプジョーより極端に重いわけではないが、モーター出力もバッテリー容量もかなり上だ。それを考えれば、このサイズと重さのEVなら、もっとパワフルなモーターと大容量のバッテリーが必要ではないのか、という疑問が湧くのは当然だ。その答えは、後に述べることとしよう。
少なくとも充電機能に関しては、ライバルたちと張り合える。DC急速充電のレートが100kWまで引き上げられれば、30分で80%までチャージ可能だ。充電ポートは左リアフェンダーに設置されている。充電ブースにバックで入り、前から出ることができるレイアウトは、われわれが安全に運用するのに適していると考えているものだ。