【詳細データテスト】BMW 4シリーズ 速さも燃費も上々 アダプティブダンパーの乗り味も上々 見た目とサウンドは改善を希望

公開 : 2021.01.17 20:25

走り ★★★★★★★★★☆

6気筒ユニットと8速ATの性格には、たしかな底力がある。このコンビネーションは、フルスロットル時のパワーも、パートスロットル時のドライバビリティも、文句のつけどころがなかなかみつからない。しかもツーリング燃費が14km/Lを超えることに気がつけば、もはやケチをつける気すら起きない。

ただし、M440iに欠けているものがひとつだけある。説得力のある魅力的なサウンドだ。走行性能の客観的なデータと秤にかければ、取るに足らない不満だと思うかもしれない。

自然吸気のようなスムースさと全域で強力なトルクを備えるエンジン、いたずらに変速したがらないAT、高効率の4WDが織りなす動力性能はみごと。ただし、サウンドの満足度は低い。
自然吸気のようなスムースさと全域で強力なトルクを備えるエンジン、いたずらに変速したがらないAT、高効率の4WDが織りなす動力性能はみごと。ただし、サウンドの満足度は低い。    MAX EDLESTON

しかし、いくら今日の自動車メーカーが厳しい音量規制に苛まれているとわかっていても、この手の趣味性が強いクルマでなら、ボンネットの下で力を発揮するBMWご自慢のストレート6が発する美声を楽しみたいのが人情というものだ。とはいえ、それを許さない事情がひとつならずあるのが現実だ。

このエンジンのパワーデリバリーは幅広い回転域で、使いやすい有り余るほどのトルクに、歯切れよさやペダル操作へのリニアなレスポンスも兼ね備えている。ターボラグやドッカンターボ的な特性を感じることはまずない。また6000rpm以上まで楽に回り、自然吸気のような勢いが感じられる。

もちろん、低回転でもたつくこともない。0-100km/h加速の公称タイムは4.5秒。われわれのテストはやや湿って冷え切った路面状況で行われたが、4.1秒で97km/hに達した。この数字はトルクコンバーターのロスの少なさや、4WDシステムの効果を、はっきりと物語るものでもある。

ギアボックスがベストな能力を発揮するのは、よりスポーティな変速モードを選んだ場合だ。スロットルペダルを踏み込むと、スマートに迷いなくシフトダウンする。48Vマイルドハイブリッドのアシストがパフォーマンスに影響しているとすれば、それはパートスロットル状態での応答性改善だろう。そう推測させるほど、じつにみごとなのだ。

最新のATは、その多くの段数を積極的に変速したがる傾向にあるが、このクルマのそれは違っていて、そこまでやたら活発に感じることはまずない。適正なギアを選んだら、走ることに全力を傾けるのだ。

しかし、注意深く耳を澄ませば、合成音のエンジンサウンドを聴き逃さずにはいられない。BMWの最新エキゾーストシステムにはパティキュレートフィルターが備わり、それがB58ユニットの混じり気ない魅力的なサウンドをスポイルしている。それを補うためか、もしくは単にドラマティックな音を演出したかったからか、とにかく合成添加物のような音が加えられているのだ。

理由はどうあれ、聞き流してしまえば当たり障りなくスポーティで、それらしいサウンドに思えてしまうかもしれない。しかしながら、かつての328iに積まれたシルキー6を忘れられないようなドライバーなら、M440iの作られた音に狂喜するようなことはないだろう。

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