ジャガーFペイス 詳細データテスト 内装の質感は大幅に向上 サイズのわりに上質な走り 価格は高め

公開 : 2021.12.11 20:25  更新 : 2021.12.17 16:09

全車EV化を控えながらも、現行車の改良を進めるジャガー。売れ筋のFペイスは、懸案の内装をほぼ全面刷新しました。PHEVは価格やパッケージに問題もありますが、それでもあと数年で消えるのが惜しまれる出来栄えでした。

はじめに

2016年に行なった改良前のジャガーFペイスロードテスト、そのレポートは、ジャガーがどれほど注意深くSUVを導入したかという話からはじめている。伝統的に高級サルーンとスポーツカーのメーカーだっただけに、性格づけを思い切って変えることに対して、強い反発を受けることが心配されたからだ。

ところが、今やそんな見通しは甘かったといわれてもしかたない状況になっている。というのも、SUV人気はすっかり確立され、Fペイスは近年のジャガーでは稀有なほどの成功作となったからだ。

テスト車:ジャガーFペイス P400e RダイナミックHSE
テスト車:ジャガーFペイス P400e RダイナミックHSE    WILL WILLIAMS

世の中のセダンやワゴンの需要が低下し、XEやXFの出来栄えがいかによくても販売は振るわなくなった。そうなるにつれ、ジャガーが好調を維持する上でFペイスは重要な役割を果たすようになってきた。

それまでの20年ほどの間、ドイツのプレミアムブランドを追うための試行錯誤がことごとく成果を上げずにいたジャガー。ところが今や、ジャガー・ランドローバーのティエリー・ボロレは大きく方針を転換している。2025年までに目指すのは、ベントレーに次ぐ立ち位置の純電動高級車ブランドだ。それまでの間、現行車は売り上げを稼ぎ続ける必要がある。

そこで各モデルはフェイスリフトを敢行し、インテリアの大幅な改修とパワートレインの改善が図られた。かつてドイツ勢と張り合っていた頃、JLRは自社製ディーゼルエンジンのインジニウムシリーズに多額の投資を行なった。後になってみると、それが正しかったとはいえないのだが、最近ではそれと同じように全力で、プラグインハイブリッド開発を進めている。

この努力がどの程度の成功を収めているのか確認するべく、今回はもっとも売れ筋のモデルであるFペイスの、おそらくもっとも重要なパワートレインを積んだ仕様である実力を計ることとした。それがガソリンエンジンベースのPHEV、P400eである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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