ジャガーFペイス 詳細データテスト 内装の質感は大幅に向上 サイズのわりに上質な走り 価格は高め

公開 : 2021.12.11 20:25  更新 : 2021.12.17 16:09

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

フェイスリフト、すなわちビッグマイナーチェンジなので、基本構造に変化はなく、XEやXFと共用するアルミ主体のプラットフォームはそのままだ。しかし、アルミゆえの軽量さが活かされ続けているとはいいがたい。

もっとも軽量なP250仕様は、これまでとさほど変わらない1822kg。しかし、17.1kWhのバッテリーや電気モーターをはじめ、ハイブリッドシステム関連の電装系を追加したP400eは、2114kgに達している。これはスティールシャシーで7人乗りのキア・ソレントPHEVより重い。さらにオプション満載のテスト車は、満タンで実測2264kgと、カタログ値を150kgも上回った。

P400eのハイブリッドシステムは、P300仕様の2.0L直4ターボがベース。ギアボックス内には143psの電気モーター、荷室フロア下には17.1kWhの駆動用バッテリーが設置される。
P400eのハイブリッドシステムは、P300仕様の2.0L直4ターボがベース。ギアボックス内には143psの電気モーター、荷室フロア下には17.1kWhの駆動用バッテリーが設置される。    JAGUAR LAND ROVER

プラットフォームは、基本設計の段階から電動化を想定していたわけではない。そのため、パッケージングは理想的とはいえないものになっている。にもかかわらず、エンジニアたちはどうにかこうにか17.1kWhのバッテリーを詰め込んだ。このうち、EVモードの駆動力として用いられるのは13.7kWhだ。

XEやXF、FタイプのP300仕様にも搭載される300psの2.0L直4ガソリンエンジンと、143psの電気モーターを積み、システム総出力は404ps。このパワーは、BMW X3 30eやメルセデス・ベンツGLE 300eといったドイツ勢のライバルを凌ぐ。牽引重量は2tに達するが、これはハイブリッドSUVとしてはかなり大きな数値だ。

ジャガー(とランドローバー)のPHEVは、多くのライバルたちに比べて充電時間でアドバンテージがある。JLRのハイブリッドは、パブリックの直流急速充電器が使える。最大32kWまでしか対応せず、自家充電より高くつきがちだが、0〜80%の充電時間が30分というのは便利だ。長距離ドライブ中なら、それくらいの休憩は取るだろうから、その間にチャージすれば効率的だ。

アップデートしたFペイスは気に入ったが、高額なPHEVでなくてもいいというなら、ガソリンとディーゼルのエンジン単体モデルの幅広い選択肢からもセレクトできる。そちらにも大幅な変更がいくつかあった。

MTで後輪駆動の廉価版モデルやフォード由来のエンジンは廃止され、ジャガー内製のインジニウムシリーズに与する直列の4気筒と6気筒をラインナップ。2.0LガソリンターボのP250以外には、48Vマイルドハイブリッドシステムが組み合わされる。そして、もしも経済性を無視するのなら、5.0LのV8スーパーチャージャーを積むSVRを選ぶことも可能だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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