フォード・マスタング・マッハE 詳細データテスト 加速も操縦性も注文あり バッテリーに改善の余地
公開 : 2022.05.07 20:25 更新 : 2022.06.21 14:20
意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆
STやRSのサフィックスを持つフォードのパフォーマンスモデルは、多くが欧州のフォード・パフォーマンスのエンジニアリングティームが手がけている。しかし、マッハE GTは、マッハEの他グレードと同じく、主にアメリカで開発された。生産はメキシコのクアウティトラン工場で行われる。
ベースとなるプラットフォームは、フォードがグローバル・エレクトリファイド1と呼ぶもの。しかし、その実体はフォーカスやクー画に用いられるC2プラットフォームのモディファイ版である。ただし、メカニカルレイアウトは、内燃機関仕様とまったく違う。
GTは、マッハEのほかの4WDモデルと同じく、永久磁石動機モーターを前後に搭載する。しかし、GTのモーターは前後とも、後輪駆動モデルでは最高294psまで発生できる高出力版だ。
バッテリーは、エクステンデッドレンジ仕様に搭載されるタイプ。キャビンの床下をホイールベースいっぱいに占拠するそれは、99kWhのキャパシティを持つ。そのバッテリー出力が、ポテンシャルを十分に引き出せないのだろう。前後モーター総合での最高出力は487ps、最大トルクは87.7kg-mだ。
これだけあればかなり強力だと思うかもしれないが、ウェイトは公称2198kgで、実測値はそれより100kgちょうど重かった。つい最近テストしたテスラ・モデルYと比べると、300kgも上回る。これは、ちょっと褒められたことではない。
サスペンションは、フロントがストラット、リアがマルチリンク。専用セッティングのコイルスプリングとスタビライザー、磁性流体式アダプティブダンパーのマグネライドを装備し、車両重量を制御する。他グレードよりトレッドは数mm広いが、それはワイドな20インチホイールを履いたことによるものだ。車高は、11mmダウンしている。
タイヤはピレリPゼロ・エレクトで、グリップと走行抵抗低減の両立を図っている。マッハEに共通の電子制御式トルクベクタリングは、荷重がかかっていないほうのタイヤにブレーキをかける方式だ。フォードによれば、もっともダイナミックなセッティングを選ぶと、駆動力の前後比率は30:70になるという。