フォード・マスタング・マッハE 詳細データテスト 加速も操縦性も注文あり バッテリーに改善の余地

公開 : 2022.05.07 20:25

快適性/静粛性 ★★★★★☆☆☆☆☆

マッハE GTの乗り心地にはそもそも落ち着きのなさが素性としてあり、高速道路でも田舎道でもかわらず落ち着こうとしないので、長距離を運転するとドライバーは消耗してしまう。

低速で感じられる硬さは、路面に補修箇所の多いA級道路やB級道路で突き上げやピッチを引き起こしがちだ。その傾向は、よりスポーティな走行モードを選ぶと一層顕著になるのだが、穏やかなセッティングでもやはり感じられる。

サスペンションが硬く、乗り心地は落ち着かないし、突き上げがキツいと衝撃音も発生する。おまけに、レーンキープアシストが進路をふらつかせる。
サスペンションが硬く、乗り心地は落ち着かないし、突き上げがキツいと衝撃音も発生する。おまけに、レーンキープアシストが進路をふらつかせる。    MAX EDLESTON

ハードコアなパフォーマンスカーの運動特性には、そういう好ましくない点がつきものだと思うかもしれない。しかし、このマッハEの場合、それは行き詰まりの原因となるばかりだ。

フォードが選んだ20インチホイールとピレリのタイヤは、キツい突き上げがあると唐突にドシンとかバタンとかいった衝撃音を起こす。ただし、ロードノイズは少なくともある程度までは消されているし、風切り音は十分に抑えられている。

運転席のシートは座面が短すぎて、脚が長いひとは不足に思うだろう。また、座面の高さは調整できるが、傾きまでは変えられない。

運転支援システムは、渋滞での停止と発進のサポートぶりも良好だ。しかし、レーンキープ支援システムは、高速道路でさえふらつきをみせるので、イライラせずに任せきりで走ることができない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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