安くて人気の欧州車ブランド ダチア(DACIA)の強みはどこにあるのか?

公開 : 2022.07.21 18:25

電動化の取り組み 低価格は維持できる?

――シンプルなラインナップが魅力を制限することはないのでしょうか?

「不利に働くとは思っていません。現在あるセグメントのカバー率を考えると、十分に力を発揮していると思います。Cセグメントではダチア・ジョガー(7人乗りのクロスオーバーMPV)から攻勢を始め、2025年には新型ビッグスター(SUV)が登場し、『ニュー・ダチア』の幕開けとなります」

「もちろん、わたしはブランド・ディレクターとして、すべてのセグメントをカバーするすべてのモデルを展開し、あらゆるパワートレインで、できるだけ多くのお客様を取り込みたいと考えています。しかし、ダチアのブランド価値を守るためには、絶妙なバランス感覚が必要なのです」

――英国では2030年にICE車の新車販売が禁止されます。現在、ダチアにはハイブリッド車がありませんが、その点で不安や苦労はありませんか?

ダチアの新型SUV「ビッグスター」は2025年に発売される予定。
ダチアの新型SUV「ビッグスター」は2025年に発売される予定。

「当社もEVに移行しますが、それはお客様と市場の準備が整ったタイミング、ぎりぎりのところで行うつもりです。ルノー・グループの一員ですから、電動技術はすぐにでも使える状態にありますし、電動化を待てば待つほど、より手頃な価格になります。今年の末から来年の初めにかけて、ジョガーでハイブリッド化を開始し、他の車種も順次ハイブリッド化していく予定です」

――EVでも低価格を維持することは可能ですか?

「ルノー・グループも含め、EVのトレンドに乗る人が増えれば、材料、技術、研究・設計のコストが下がります。今、当社がEVを発売していない(ダチア・スプリングEVは英国未導入)のは、ダチアらしい価格にはならないからです。導入してもうまくいかないでしょう。しかし、5年、6年、7年、8年後、つまり2030年までには、必ず成功させるつもりです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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