【詳細データテスト】ポルシェ・カイエン 圧倒的な速さ 車重に負けないグリップ 快適性と装備は不満

公開 : 2022.07.30 20:25  更新 : 2022.08.22 15:06

内装 ★★★★★★★★☆☆

ターボGTのキャビンは、典型的なポルシェのそれだ。高級感と質感は控えめだが、走り志向で、ドライビングへと駆り立てるような雰囲気がある。

快適で、華美さは抑えた室内は、大人が前後にふたりずつ乗り込める4シーターだ。特別に至れり尽くせりな大型SUVというわけではない。身長が190cm近くなると、後席では頭頂部が天井に触れそうになるだろうし、中央部はプラスティックの小物入れトレイが設置され、シートもシートベルトもそこにはない。

オフロードに連れ出したら汚れが心配になりそうなほど、手や身体が触れる箇所の多くがアルカンターラで覆われている。メーターは中央の回転計のみが、実体のある指針式となる。
オフロードに連れ出したら汚れが心配になりそうなほど、手や身体が触れる箇所の多くがアルカンターラで覆われている。メーターは中央の回転計のみが、実体のある指針式となる。    MAX EDLESTON

それでも、どの位置に座ってもレッグペースは広々としていて、シートの快適性もおおむね良好。40:20:40分割可倒式のリアシートは、フォールドしても完全にフラットにはならないものの、嵩張る荷物を積むのも拡張するのも容易で、家族旅行の荷物くらいは楽に呑み込む。

前席周りには、ポルシェはグレーのアルカンターラを広範囲に使用し、ダッシュボードやドアトリム、ステアリングホイールやシフトセレクターレバー、シートやグラブハンドルを覆っている。それに加えて、グレーのレザーとカーボン、グロスブラックのトリムが用いられている。

マテリアルのバリエーションは限定的で、ダークな色調のシリアスな運転環境を構築しているが、それでも魅力が感じられ、高価そうな感じがある。ただ、オフロードを走ったら、アルカンターラが泥や埃で汚れたり、水に濡れたりするのが心配になりそうだ。

メーターパネルは、中央にデジタルではなく実体のある大きな回転計が据えられ、その両脇を固めるデジタル画面の表示内容は好みに合わせて調整可能だ。前上がりのセンターコンソールには、実体スイッチのエアコン操作部と、常設されたたくさんのインフォテインメント用ショートカットや、サスペンションとスタビリティコントロールのタッチ式ボタンが配置される。

ステアリングホイールには、右下にゴルフボール大の走行モード切り替えノブが、スポークにはインフォテインメントシステムやトリップコンピューターの使い勝手のいい操作スイッチが、それぞれ設置されている。それでも、スイッチが多すぎる感じはしない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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