ボルボV60 詳細データテスト 動力性能もEV航続距離も向上 万人受けの運動性 積載性はほどほど

公開 : 2022.10.01 20:25  更新 : 2022.10.04 07:29

内装 ★★★★★★★★☆☆

ボルボですっかりおなじみになったRデザイン仕様のデザインは、快適性や機能性、汎用性を損なわないでいてほしいという期待を裏切らない。ただし、キャビンも荷室も、その広さはクラス最高レベルというわけにはいかない。

運転席のドアを開けると、目に入るシートはスポーティだが、快適に座れる大きさと、必要性の高い部分をすべて支えてくれるサポート性がある。掛け心地は、一日中乗っていても心地いい。座面長の調整機構は標準装備だ。

荷室や居住空間の広さも素材の質感もほどほどだが、シートは快適で、スイッチなどはカッチリした手触り。収納スペースが満足いくものなら、なおよかったのだが。
荷室や居住空間の広さも素材の質感もほどほどだが、シートは快適で、スイッチなどはカッチリした手触り。収納スペースが満足いくものなら、なおよかったのだが。    LUC LACEY

ヘッドレストは一体型の固定式だが、形状もポジションも文句なし、というのがテスター陣の感想だ。調整式ランバーサポートは効果を感じられる張り出しがあるのに、日々の乗り降りで邪魔に感じることはない。

後席のスペースは、ミッドサイズのエグゼクティブエステート、つまりこのクラスのワゴンとしてはアベレージレベルといったところ。ボルボが駆動用バッテリーを収めることにしたセンタートンネルがあるので、中央席に座るときはそれをまたがなければならないが、左右席なら標準的体型の大人が十分快適に過ごせる。テスト車はラウンジパッケージ装着車で、パノラミックサンルーフが付いていたが、ヘッドルームは気になるほど侵害されていなかった。

テスト車のインテリアは、かなりダークな色調だった。標準仕様のレザーも内装のマテリアルも暗めの色合いで、そこにクローム調やアルミ調のメタリックなトリムが組み合わされ、現代的な雰囲気だ。このほかに、2トーンのシートやナチュラルなルックスのトリムも選べる。

マテリアルのクオリティの水準はやや控えめだが、スイッチ類や装備類の手触りはかなりソリッドで頑丈そうなので安心感がある。収納スペースはちょっと足りない印象で、ドアポケットの大きさも十分ではなく、アームレスト下の小物入れはかなり浅い。センターコンソールはドリンクホルダーが重視されていて、財布や携帯電話の置き場は二の次にされているように思える。

デジタルメーターパネルのディスプレイはクリアで、操作は容易。センサスコネクトこと縦型画面を用いたインフォテインメントは、使い方にはすぐに慣れることができる。ただし、これらは2023年モデルでの変更対象となる予定だ。

荷室の広さは、中型ワゴンとしてはほどほどでしかない。ボルボのワゴンといったら、広大な積載スペースを期待してしまうだけに、これは残念だった。とはいえ、フロアの底上げなど、PHEVでありがちなデメリットはない。

バーチャルペダルと呼ばれるリモートオープン機能付きパワーテールゲートは、後ろ向き駐車の際には不用意に開けてしまって壁や障害物に当ててしまわないよう注意したい。テスト中は幸いにもそういうトラブルがなかったものの、それでボディに傷が付いてしまったら、怒りのほうはぶつけどころがないという、くやしい羽目になる。

広さはともかく、積載スペースの出来はこの上なくいい。横方向の引き上げ式仕切り板はすばらしく、フックや固定用リングは多く設置されている。ほかにも、長尺物を積むためのスキーハッチ、12V電源ソケットが備わる。床下収納もあるのだが、充電ケーブルが収まるほどの大きさはないのが悔やまれる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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