わずか500mに通行料4万円! 「波崎シーサイド道路」に行ってみたら…… 地権者逮捕の真相とトラブルの歴史
公開 : 2022.12.18 05:45 更新 : 2022.12.18 14:45
なぜ私有地に道路ができてしまった?
いつからこのような状態になったのか?
神栖市役所道路整備課に経緯を聞いたところ、「本件は1994年に土地の所有者から『わたしが所有する土地に道路(波崎シーサイド道路)が通っている』という申し出があったことが発端です」という答えだった。
地権者はこの年裁判を起こして勝訴しており、その後神栖市(当時は合併前の波崎町)は封鎖された道路に誤って進入しないよう看板の設置を始めたというわけだ。
そもそもなぜ、私有地に県が施工する道路が通ってしまったのか?
なかなか複雑な事情だが過去に報道された内容をまとめると……
・地権者の父親がシーサイド道路沿いにある土地を購入したが、その一部に道路部分約90m分が入っていた。
・父親は旧波崎町に対して土地の境界線をめぐって裁判を起こした。一審敗訴の末、控訴審で逆転勝訴し道路部分を含む約1000坪が私有地として認められた。
・この土地は元々、地権者の先祖が持っていた土地だったが別の人に所有が移った間にシーサイド道路が開通した。
神栖市としてはこの道路を買い戻して以前のように無料で供用したいと考えているわけだが、金額に折り合いがついていない。
せめてトラブルが起こらないよう、多数の看板を設置して迂回を指示するようになったというわけだ。
波崎シーサイド道路は銚子大橋を渡って千葉県→茨城県に入ったあたりから神栖町日川浜までの約15kmの道路で問題の私有地として封鎖されているのはこのうちの約500mだ。
グーグルマップで「銚子大橋→日川浜オートキャンプ場」で検索すると、私有地の部分を迂回する形でルート案内される。
かつてはこの500m区間は通行料500円で通れたとのことだが、その後、値上がりを続け現在は4万円というとんでもない金額になっている。
というより、最近ではそもそもこのエリアは通行を禁止しているので、それに従わずあえて入ったクルマに対する罰金のようなものと考えるのが妥当だろう。
現場に近づくにつれて「進入禁止」、「この先私有地、迂回せよ」などの看板が次々と現れる。
私有地道路の南側・北側両方の入り口に数百m手前から「私有地」がこの先にあることを知らせる看板が現れ始める。
「警告WARNING この先私有地及び共有地の為 進入禁止!KEEP OUT! 神栖市」
「注意STOP この先、私有地(駐車場)利用・関係車両以外 通り抜け禁止 神栖市」
「この先の通行止め区間内に置いてのトラブルや係争について当市は一切関与しない 神栖市」
このような看板が多数設置されており、最終的に私有地の入り口はコンクリートブロックや単管を組んだバリケードによってその先には進めない状態となっている。