わずか500mに通行料4万円! 「波崎シーサイド道路」に行ってみたら…… 地権者逮捕の真相とトラブルの歴史
公開 : 2022.12.18 05:45 更新 : 2022.12.18 14:45
無断進入の罰則は「車両預かり」
私有地の入り口(メインとなる北側)には、「私有地につき通行止め無断進入した場合は四万円を徴収します」、「支払いができない場合は車を預かります。預かり料は1日4万円ずつ増えます」という恐ろしい文言が並ぶ。預かり料も1日4万円だ。
だがここは裁判で認められた私有地であり、そこに至るまで数多くの警告看板も設置されているわけだから、文句は言えないだろう。
また、「御用の方はインターホンをお使いください。地主」の看板にはインターホンも設置されている。
筆者はインターホンで呼びかけてみたり、防犯カメラに向かって手を振ってみたりしたが応答はなかった。
北側入口の先に地権者のプレハブ小屋のようなものがあり、そこにはスズキ・ワゴンRとナンバー無しの「草ヒロ」となったダイハツ・ネイキッドが停めてあった。
いっぽう、反対側の南側入り口も同様の看板とバリケードが設置されておりバリケード前には、地権者の名前と携帯電話の番号が記されている。
インターホンがない代わりに携帯で連絡する仕組みとなっているが、こちらも電話してみたが応答はなかった。
このような状況であるため波崎シーサイド道路経由でこの場所に訪れるならば、「間違って私有地部分に進入してしまった」という状態はありえないだろう。
ただし、波崎シーサイド道路の周辺には砂浜と行き来できる枝道が多数ある。
近所の人の話によると、ジムニーのような小型4×4であればこの枝道を経由して波崎シーサイド道路の有料部分を横切っていくことも可能とのこと。
実際に4万円を支払った人も……?
では、これまで実際に「4万円」を支払うことになったケースについて紹介しておきたい。
われわれが取材に訪れた際、たまたまその場に犬の散歩に来ていた方に話を聞くことができた。
「釣り仲間なんですけどね。4万円を支払った者がいますよ」
「『なんで? あそこは4万円請求されるの知ってるでしょ? 』って聞いたら、『それはわかってた。だけどトイレ行きたくてどうしようもなくて……』と」
「釣りの最中に海側からトイレに行くために、どうしてもその私有地を通らないとダメで、わかっていたけどそこを通ったら、地権者に見つかって請求されて仕方なく支払ったそうです」
「われわれ近所の人間はもう相手にしないというか。無視していますけどね。迂回すればいいわけだし」
「このあたりで釣りをする人はみんな小さな4×4に乗ってますから。裏道を通って行き来できるんですよ。でも、例えば釣った魚をお裾分けするとか、何かしら『貢ぎ物』をすることで無料で通してもらっている人もいますよ」
なお、SNSにおいて「地権者が傷害罪で逮捕されて不在だから、いまなら波崎シーサイド道路が無料で通り放題」などの投稿があるが、実際それはかなり困難だ。
地権者が逮捕されたとはいえ、ここが私有地であることに変わりはなく、バリケードもありクルマで進むことはできない。
地権者の家族が防犯カメラで見張っており、見つかるとスピーカーを通じて警告または通行料の請求がなされるという情報もある。
過去には地権者の関係者からいきなり水中銃で撃たれた海水浴客もいる。
ちなみに、「歩いて入っても請求された」例もあるそうなので、近寄らない方が無難である。もちろん、4万円を払う覚悟があれば別だが……。