メルセデス・ベンツEQE 詳細データテスト 徹底した快適志向 良好な操縦性 らしさのない質感

公開 : 2023.01.14 20:25  更新 : 2023.02.13 07:56

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

エアサスペンション車のEQEは乗り心地がソフトで、タッチが軽く、快適性優先という印象。どこをとっても、それは見誤りようがない。

21インチタイヤ装着車でさえ、市街地を走る速度域でのフィールはおだやかで、フィードバックにはフィルターがかかり、衝撃吸収が効いている。路面の金属部分を乗り越えた場合のみ、セカンダリーライドのほころびがみられることもあるが、きわめてまれだ。

EQEの運動性のプライオリティは、快適で運転しやすいこと。それでも、コーナーをハードに攻めると、十分な横方向のボディコントロールと良好なスタビリティを発揮する。
EQEの運動性のプライオリティは、快適で運転しやすいこと。それでも、コーナーをハードに攻めると、十分な横方向のボディコントロールと良好なスタビリティを発揮する。    MAX EDLESTON

ステアリングは軽く、腕力はほとんどいらない。もっともスポーティな走行モードを選ぶと手応えが重くなるが、それもほんのわずかなものにすぎない。

それでいて、飛ばしてもハンドリングがまとまりなくバタつくようなこともない。全高や重心が低いので、横方向のボディコントロールは適切に保たれている。カントリーロードでウェイトの重さを感じさせるのはおだやかで看過できる程度の上下動であって、ロールではない。

高速道路でのスタビリティは、総じて良好だ。たとえ、外乱要因があった際に、乗り心地がわずかに落ち着かなくなるにしても。それは、カントリーロードでも同じことが言える。

結局のところ、EQEは運動性に問題があるとしたら、それはダンパーの伸びまでが際立ってゆったりしているのが理由だ。もっとも、浮遊感は歴史的にみて、高級サルーンらしいキャラクターの構成要素に挙げられる。

EQEのオーナーが試みるか疑問に思うくらい過激な走らせ方をすると、グリップ限界まで十分なロール耐性を示し、足元がおぼつかなくなったり、突如バランスを崩したりするわけではない。

トラクションコントロールとスタビリティコントロールの機能ぶりは上々だ。ある程度は作動を抑えられるが、少なくともスロットルを抜いた際のオーバーステアが出るような運転をして、それが出始めるまでのこと。ただし、パワーオーバーステアに持ち込むより、軽く負荷がかかった内輪の駆動力を抜くことになりがちだ。

しかしながら、どちらの場合でも限界域でのハンドリングバランスは、驚くほど良好だ。運動性はデフォルトで、安定志向に振られている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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