MG 4 EV 詳細データテスト 安価ながら高い完成度 後輪駆動の楽しさあり 快適性にも進歩あり

公開 : 2023.04.15 20:25  更新 : 2023.05.06 07:52

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

これまでMGは、ZSやMG 5の電動モデルを用意してきたが、MG 4はそれらと異なり、EV専用設計だ。市販車にはじめて用いられる新開発プラットフォームのMSPは後輪駆動ベースで、ホイールベースは2650〜3100mm、バッテリーは40〜150kWhに対応。高性能モデルは、フロントにモーターを追加し4WD化する。

バッテリーはフロアに統合され、構造体の一部を担う。厚さは110mmに収められ、ハッチバックやセダンを低く感じられるクルマに仕立てることに寄与する。

新開発プラットフォームは後輪駆動ベースで、4WD化や先進の電装系への対応も想定された設計。デザインは、これまでのMGからの変化が感じられる。
新開発プラットフォームは後輪駆動ベースで、4WD化や先進の電装系への対応も想定された設計。デザインは、これまでのMGからの変化が感じられる。    MAX EDLESTON

おもしろいことに、MGはこのアーキテクチャーを800Vシステムやバッテリー交換方式にも対応するよう設計したと説明する。それは、ニオがドイツではじめようとしているものと同様だ。

当面のところ、MG 4はさほど野心的ではない、中型ハッチバックとしては妥当なクルマにすぎない。400Vシステムで、バッテリーはグロス51kWh/ネット50.8kWhのリチウムイオンと、グロス64kWh/ネット61.7kWhのニッケルコバルトマンガンが用意されている。

また、シングルモーターの後輪駆動のみの設定で、スタンダードモデルが170ps、ロングレンジ仕様が204ps。中国ではムーランの名で販売され、パワートレインの選択肢は少し広がり、エントリー仕様と、2モーターのハイパフォーマンス仕様が加わる。

欧州市場へは、エントリー仕様はともかく、MGが本来のスポーティなブランドイメージを復権しようというなら、449ps・4WDの最上位モデルは導入の可能性がある。それなら、サイバースターコンセプトとして提案された来るべき電動ロードスターと並んでも収まりがいいはずだ。

競合モデルはクロスオーバー寄りのものが多いが、MG 4はよりハッチバックらしいデザインを採用した。4287mmの全長は、フォルクスワーゲンID.3クプラボーンの兄弟や、キア・ニロEVよりわずかに短い。もっとも似通っているのはルノーメガーヌEテックだが、シトロエンE-C4やプジョーe−2008ともターゲットはバッティングする。プジョー308ヴォグゾール・アストラのEV版が発売されれば、それも競合となるだろう。

ライバルひしめくこのセグメントにおいて、MG 4は個性を主張する必要がある。そこでスタイリングは、これまでやや独創性に欠けていたSAIC傘下のMGとは大きく変化したものとなった。小径ホイールは安価なクルマのイメージを感じさせるが、大きなヘッドライトや多用されたプレスライン、テールライトやスポイラーが一体化した黒いユニットなどは、たしかに主張の強いものだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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