ベントレー・コンチネンタルGTC 詳細データテスト 洗練とスポーティの好バランス サウンドも魅力

公開 : 2023.04.29 20:25  更新 : 2023.05.06 09:45

ベントレー・コンチネンタル系は、W12よりV8がベターというのがオートカー的な主張です。納得できないという声もありますが、今回のV8 Sはかなり説得力のある好例。高級感は損なわず、走りの楽しさが加わっています。

はじめに

コンバーティブルは、世界でも屈指の最上級な高級車メーカーにとって、収益が尽きないことを証明する存在だ。それがなぜかを理解するには、乗ってみればいい。そこに、オープンのエキゾティックカーが、ほぼどんなときでもオープンエアドライブをスペシャルなものに感じさせることができるような、驚きの要素はほとんどない。

ベントレーが長きにわたりそう理解されてきたように、もっともうっとりするほどのラグジュアリーさを備えたコンバーティブルが、もっともエキサイティングなクルマであることはレアケースだ。そのかわり、苦労知らずのグランドツーリングを、贅沢で、外界から隔絶された魅力的なキャビンで味わえる。

テスト車:ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S
テスト車:ベントレー・コンチネンタルGTC V8 S    MAX EDLESTON

そういうクルマは、存分に味わいたくなるようなドライビングを体験できるだけではなく、屋根を開けてもマナーのいい、走り続けたくなるようなクルージングも実現してくれる。

まさしくそうした両立を追求して、ベントレーはコンチネンタルGTCのファミリーを拡大し、新たな、しかしおなじみのメンバーを追加した。

クルーからV8 Sを名乗るコンチネンタルGT/GTCがはじめて送り出されたのは10年近く前のことで、そのときのコンチネンタルは先代だった。基本となるのは軽さとレスポンスに勝るV8モデルで、そのハンドリングとパフォーマンスを磨き、ドライバーにフォーカスしたそれは、オートカー的に、現代のベントレーでは最高レベルの評価を与えたモデルとなった。

パフォーマンスとラグジュアリーさ、ドライバー志向が融合し、さらにはコンチネンタルファミリーの中でも価格をより正当化しやすい仕様でもあった。となれば、新型V8 Sにも同じことを望みたいところ。それを確かめてみたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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