ベントレー・コンチネンタルGTC 詳細データテスト 洗練とスポーティの好バランス サウンドも魅力

公開 : 2023.04.29 20:25  更新 : 2023.05.06 09:45

内装 ★★★★★★★★★★

車体は大きく、長く重いドアを備えているので、フルに開いた幅は4mを超える。現行レンジローバーでも、この数字は3.9mで済むのだが。そればかりでなく、動かすところはみな重くソリッドな感触で、ベントレーらしい重みがある、妥協なき贅沢さを細部に至るまでもたらしている。

V8 Sでは、フロントのスポーツシートの、溝状に加工された表皮は、本革と、スウェード調のダイナミカを用いた2トーン仕上げで、ヘッドレストにはSのエンブレムが刺繍されている。着座位置もベントレーらしいもので、十分に低いが、乗降性に優れ、しかも快適だ。

シートの快適装備をフルに使いたければ、それなりの追加出費を求められるのは納得しかねるが、マテリアルのクオリティには文句のつけようがない。
シートの快適装備をフルに使いたければ、それなりの追加出費を求められるのは納得しかねるが、マテリアルのクオリティには文句のつけようがない。    MAX EDLESTON

テスト車は3275ポンド(約54万円)のフロントシート・コンフォートスペシフィケーションを備え、ネックウォーマーやベンチレーション、マッサージ機能に加え、ヘッドレストやサイドサポート、座面長は電動調整式となる。

この手のクルマで、そうした機能がオプションというのは納得しかねるところもあるが、おそらくクルー工場で、それらを装備しないクルマがそう多くは造られないだろう。

目の前には多くのデジタル技術が見て取れる。12.3インチ画面のインフォテインメントシステムをはじめ、デジタルメーター、オプションではヘッドアップディスプレイやナイトビジョンシステムも用意される。

しかし、ベントレーが熟練の技で、それらを巧みに包んで設置しているのは相変わらずなので、よりシンプルで、トラディッショナルなムードに包まれてドライブしたいときには、その気分を邪魔しない。

回転収納式のインフォテインメントのディスプレイを隠して、アナログのセンターメーターを眺めたいと思うことは、驚くほど頻繁にある。オープンポアの美しいウォールナットパネルも、目に映るだけでうれしくなる。

GTCのマテリアルから漂う高価そうな感じに、期待を裏切られたテスターはひとりもいなかった。ひんやりした手触りの金属を用いたコラムレバーやセンターコンソールのスイッチ類はとりわけみごとで、無駄に触りたくなる。さらに、キャビンの雰囲気を、ドイツやイタリアのプレミアムブランドを遥かに凌ぐものにしてくれる。

実用性については、4シーターであることが挙げられる。かつてアルナージをベースに造られたアズールとは違って、大人4人が余裕を持って過ごせるわけではないが、そこそこ大きくなった子どもが、後席でオープンカーを楽しむことはできる。ただし、前席ほど走行風や騒音を遮ってはくれないので、あまり長く屋根を開けて走っていると、不満の声が上がるかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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