メルセデス・ベンツGLC 詳細データテスト 必要十分な走り 見栄えも実用性も良好 ひと味足りない

公開 : 2023.09.23 20:25  更新 : 2023.10.24 20:41

走り ★★★★★★★☆☆☆

GLC300のパワートレインは2.0L直4ガソリンターボのマイルドハイブリッドに、9GトロニックことトルクコンバーターATの組み合わせだ。このマイルドハイブリッド化により、PHEV以外のオルタネーターはインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)に置き換えられた。このISG、低回転域で23psを発生する。259ps/40.8kg−mはほとんどが後輪へ流されるが、4マチックのエンジン縦置きメルセデスはフルタイム4WDで、前輪へは最大45%の駆動力が送られる。

GLC300のパフォーマンスはエキサイティングというにはほど遠いが、遅く感じることもない。加速性能は0−97km/hが6.5秒、48−113km/hが6秒フラット。控えめなファミリー向けプレミアムSUVには十分だ。そして、このエンジンは几帳面に、2000rpmから最大トルクを発揮する。

加速も制動も、先代ゴルフGTIと同等。ファミリー向けSUVとして不満はない。ただし、ATはもう少し改良の余地がある。
加速も制動も、先代ゴルフGTIと同等。ファミリー向けSUVとして不満はない。ただし、ATはもう少し改良の余地がある。    MAX EDLESTON

頻繁に追い越しをかけるせっかちなオーナーが、同乗者や荷物を乗せることを考えると、GLC43の発売を待ちたくなるかもしれない。しかし、ほとんどのひとびとにとっては、2013年のフォルクスワーゲン・ゴルフGTIと同等の0-97km/h加速タイムをマークするクルマなら満足だろう。なお、113−0km/h制動距離は、ゴルフVIIのホットハッチより20cm長いだけだ。

ギアボックスはほぼ完璧なまでに有能で、ほとんどの場合にシフトはなめらかで正確だ。1〜2速ではしゃくりあげるようなときもあり、密接した9速は筋道だったキックダウンに欠けるところもあるが、ほとんどの場合そうとは気付かせない。

もうひとつだけ問題があるとすれば、負荷がかかったときに、静かなエンジンではないことだ。楽しくない音ではないが、ほとんど記憶には残らない。また、競合するBMWアウディほど遮音が行き届いてもいない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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