メルセデス・ベンツGLC 詳細データテスト 必要十分な走り 見栄えも実用性も良好 ひと味足りない

公開 : 2023.09.23 20:25  更新 : 2023.10.24 20:41

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

Cクラスと同系統のプラットフォームがベースなので、根底にあるバランスと血統を感じさせてくれると期待するだろう。ポルシェ・マカンほどの一体感は誰も期待していないだろうが、メルセデスなら円熟度と楽に走れる沈着さは持っているべきだ。それも、この価格帯ならばなおさらに。

このGLCは根本的なハンドリングの才能があり、そこに価値があるとしても、公道上でのプライオリティはもっと単調なところにある。方向転換はきれいにコントロールされた、昔ながらのサルーンのような感覚で、比較的低いドライビングポジションは、明らかに乗用車的なハンドリングをもたらす。ステアリングのフィールとフィードバックに関して言えばややおもしろみはないが、正確で、ギア比も上々で、たいていの場合は直感的だ。

ステアリングは正確だが個性がなく、エンジニアリングの優秀さを伝えてくることはない。しかし走り続ければ、GLCはドライバーとの一体感を見せはじめる。
ステアリングは正確だが個性がなく、エンジニアリングの優秀さを伝えてくることはない。しかし走り続ければ、GLCはドライバーとの一体感を見せはじめる。    MAX EDLESTON

ステアリングの動きそのものはある種の線の細さがあり、その点ではBMW X3のほうが、アクションもフィールもずっとリッチだ。しかし、そうした事柄は、多くのオーナーにとって大きな問題にはならないはずだ。

走り続けると、GLC300は後輪駆動らしさを感じさせはじめるが、全般的にハンドリングは頼もしいまでにニュートラルなので、長距離移動もきわめて効率的で楽にこなせる。

これも注意しておきたいのが、英国では、PHEVの300eを除く全車がスポーツスプリングを装着している点だ。これは十分すぎる安定性を発揮し、一貫して可能な限りのパワーを路面に伝達する。

運動性で目新しいところはないが、安全性も重視しながら適度に速いSUVに仕上がっている。それはまさしく必要条件にピッタリだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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