背後で放たれる750psの脅威 ランボルギーニ・ムルシエラゴ アヴェンタドール 歴代4モデルを比較する(3)

公開 : 2023.12.03 17:47

カウンタックからディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールへ進化を続けたランボルギーニのスーパーカー 英国編集部が4世代を比較し振り返る

興奮を呼び起こすNA V12サウンド

V型12気筒エンジンの回転数が高まると、熱烈な咆哮が放たれる。ランボルギーニムルシエラゴの車内で聞くサウンドは、鋭敏で正確なステアリングの反応と完全に一致。興奮を呼び起こす。

ボディは強固で、シャシーは安定。コーナーの隆起部分を、即座になだめる。アクセルペダルを急激に倒さない限り、トラクション・コントロールの警告灯は点滅しない。

ライトブルーのランボルギーニ・ムルシエラゴと、イエローのランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV
ライトブルーのランボルギーニ・ムルシエラゴと、イエローのランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV

手のひらへ伝わるフィードバックは、従来より少ない。しかし、鮮明に反応するドライブトレインとステアリング、グリップ力の圧倒的なバランスによって、ムルシエラゴは今回の4台では最もスポーツカー度が濃いスーパーカーだ。

起源を1960年代とする、ジョット・ビッザリーニ氏の設計がベースのV12エンジンは、アップデートの限界だと考えられていた。しかし、ランボルギーニの技術者は高性能なムルシエラゴを求めて、改良を加え続けた。

2006年にLP640-4が登場。フェイスリフトとともに、最高出力640psを達成している。今回のライトブルーのムルシエラゴも、その1台だ。

2009年には、LP670-4 SVへ進化。エアインテークは大型化され、カーボン・トリムとリアウイングで武装し、モデルの最後を彩った。

ムルシエラゴは、同社へ前例のない成功を与えた。2002年の価格は、フェラーリ575M マラネロと同等でありつつ、生産開始からの1年で424台もラインオフしている。

2003年には、ジュニア・ランボルギーニとしてガヤルドもリリース。年間数1000台というペースで、スーパーカーを提供することが日常となった。

ボディ全体に展開される六角形

21世紀に入ると、新興市場が台頭。ムルシエラゴの10年後に、ランボルギーニは新しい後継モデルを提供できる資金を稼いだ。方向性も明確で、歴代で最もワイルドでシャープ、ハンサムなモデルを創出することが目標とされた。

スタイリングを担当したのは、ドンカーヴォルケの後任となるデザイナー、フィリッポ・ペリーニ氏。2007年のランボルギーニ・レヴェントンと、2010年のセスト・エレメントを描き出した人物だった。

ランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV(2011〜2022年/英国仕様)
ランボルギーニ・アヴェンタドール LP750-4 SV(2011〜2022年/英国仕様)

いずれも、デザインのインスピレーションとなったのは戦闘機。アヴェンタドールもそれに準じたが、歴代モデルの特徴も盛り込まれた。

ボディ全体に、六角形が展開される。ウェッジシェイプのシルエットは伝統通りだが、アグレッシブさは前例がないほどだろう。

シャシーは、先代までのスチール製スペースフレームから、新設計のカーボン製モノコックへ一新。アルミ製のサブフレームが前後に備わり、ウイッシュボーン・サスペンションとプッシュロッド式のコイルオーバー・ダンパーが組まれた。

V12エンジンは、過去の影響を残しつつ、基本的に再設計。バンク角は60度が保たれ、排気量もムルシエラゴと同じ6498ccではあったが、シリンダーはオーバースクエア。88x89mmのボア・ストロークから、95x76.4mmへ更新された。

その結果、最高出力は700psへ上昇。レブリミットは8500rpmに設定された。

ムルシエラゴにも載った、セミ・オートマティックはアヴェンタドールも継承。他ブランドのダブルクラッチ式ではなく、シングルクラッチ式が選ばれている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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