BMW i5 詳細データテスト 乗り心地は硬め ハンドリングは良好 航続距離は物足りない

公開 : 2023.12.09 20:25  更新 : 2023.12.13 07:41

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

プラットフォームは、先代モデルに用いられたCLARのアップデート版であり、BEV専用のものではない。

サイズはかなり大きくなった。先代のG60型は、全長5mを超え、全高が1.5mに達した初の5シリーズだったが、今回はそれよりホイールベースを20mm伸長。全幅も広くなったが、ドアミラーの小型化により、もっとも広い部分で15mmの拡幅に抑えた。ミッドサイズセダンの、一般的に許容される限界を探ろうとする試みがはじまったようだ。

シングルモーターでも、フロントにトランクはない。ボンネットの下に充電ケーブルの収納スペースを用意するとなるとコストが上がりすぎてしまうのかもしれないが、期待するユーザーはいるはずだ。
シングルモーターでも、フロントにトランクはない。ボンネットの下に充電ケーブルの収納スペースを用意するとなるとコストが上がりすぎてしまうのかもしれないが、期待するユーザーはいるはずだ。    MAX EDLESTON

グロスブラックのサイドシルとボディ下部のトリムは、視覚的にボディの重量感を削減しようという意図が見て取れる。それでも、このクルマには大柄さを感じずにはいられないし、すべてのテスターがそれに魅力を感じたわけではない。

とはいえ、それを埋め合わせる一助となっているのが、i4やi7よりトラディッショナルでクラシックなBMWの主要な要素だ。比較的ノーマルなプロポーションのキドニーグリルや、Cピラーのホフマイスターズキンクのスッキリした解釈などがそれである。

新型5シリーズのパワートレインは、520iのミラーサイクル・ガソリンターボではじまるラインナップ。マイルドハイブリッドのおかげで、200psをわずかながら上回る。その上には、ディーゼルの520dや、ガソリンの530iや540iが投入される市場もあるが、英国ではそこを飛ばして、次はいきなりPHEVとなる。

530eは2.0Lガソリンターボに、強化されたハイブリッドシステムを組み合わせて299psを発生し、101kmの電動走行を可能にする。550e xドライブは、直6ターボのPHEVで、最高出力は490psだ。

そしてBEVだ。今回テストするi5 eドライブ40は、340psのシングルモーターだ。上位のi5 M60は、フロントに260psのモーターを追加する。どちらもバッテリーはニッケル・マンガン・コバルトで、81.2kWhの容量は主要なライバルを凌ぐほどではないが、このクラスで十分に競争力を主張できるものだ。

ICEモデルのサスペンションは、フロントがダブルウィッシュボーン、リアがマルチリンク。英国仕様のグレードは、Mスポーツがベーシックで、ほとんどのモデルがスティールのローダウンスプリングとパッシブダンパーのスポーツサスペンションを備える。

一方のi5は、専用の改修を施したアクスルと、リアの自動車高調整式エアスプリングを組み合わせ、リアマウントしたモーターの重量に対応する。長年にわたり5シリーズ・ツーリングに採用されていたようなメカニズムだ。

アダプティブダンパーは、中間グレード以上とi5で、アダプティブサスペンション・プロフェッショナルパッケージを選択すると装備される。ただし、4WSも同時に装着される。テスト車は、どちらも未搭載だが、最上位のi5 M60には乗り心地重視のアクティブスタビライザーと合わせて標準装備される。

テストしたi5 eドライブ40 Mスポーツ・プロの重量は2213kgで、2022年に計測したメルセデス・ベンツEQE350+より170kg少々軽い。また、2023年初めにテストした3モーターのテスラモデルSプレイドの重量もわずかに下回る。大型EVの水準としては悪くないが、抜きん出て軽いわけではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事