BMW i5 詳細データテスト 乗り心地は硬め ハンドリングは良好 航続距離は物足りない

公開 : 2023.12.09 20:25  更新 : 2023.12.13 07:41

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

Mスポーツサスペンションのセッティングは、i5に優れたボディコントロール、一貫した後輪駆動らしいシャシーバランス、やや硬めの乗り心地をもたらした。それらは、BMWのセダンに予想するような類のものだ。

タイトめのコーナーでは、ずば抜けて俊敏というより正確さをより感じさせる。また、高い速度でアクスルに複雑な問題を課すと、質量から逃れる術はないことを痛感させられる。それを御するために、サスペンションのストロークがそれなりに食われてしまうからだ。

走りにうるさいドライバーなら、これが大きくて2.2tもあるクルマだということをすぐに思い出すだろう。しかし、操舵は楽で正確、しかもピレリPゼロがなかなかのグリップを発揮してくれるのも事実だ。
走りにうるさいドライバーなら、これが大きくて2.2tもあるクルマだということをすぐに思い出すだろう。しかし、操舵は楽で正確、しかもピレリPゼロがなかなかのグリップを発揮してくれるのも事実だ。    MAX EDLESTON

同じように、狭い道や駐車スペース、タイトな交差点では、フルサイズに近いセダンであることを実感する。過去数世代の5シリーズがそうだったような、広いキャビンを備えながらもほどほど、もしくは適切なサイズで、しょっちゅうセンターラインを踏み越えそうになったり、縁石を踏んだりすることのないようなパッケージではなくなった。

とくに低速域では、開けた道でも大きさを感じる。サイズをうまく誤魔化しているにもかかわらず、だ。

標準仕様のパッシブステアリングでは、BMWらしいプログレッシブな初期操舵レスポンスを見せる。しかし、入力に対する転舵の比率はつねにリニアだ。もっと手応えを重く、フィールを明確にすることもできたかもしれないが、動きは正確で直感的だ。

より高い速度で熱心に走らせると、ピレリPゼロのおかげでまずまずハイグリップを発揮する。ハードにプッシュしてもバランスは保たれ、ラインを外さず落ち着いて走る。少なくとも、車重が大きくそれを阻害するようになるまでは。コーナリングスピードもかなり上げることができる。

ただし、スタビリティコントロールをカットすると、リアに機械式LSDがなく、後輪荷重が大きいので、スロットルでのステアリングアジャスト性はあまり得ることができない。

しかし、明らかに大きくて重いクルマでありながら、スポーティさもまずまず。運動性は大きいテスラよりナチュラルで強引な感じが薄く、多くのソフトで重さを感じさせるEVより明らかに引き締まっていて、安定感と精密さがある。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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