【大丈夫? 走行中に加速しない!】トヨタが業界初採用 走行中「アクセルとブレーキ踏み間違い抑制システム」
公開 : 2020.07.27 05:50
急激にアクセルを踏むのが不自然な状況で、エンジン回転数が上がらないよう制御を入れる。そんなシステムをトヨタが導入。「不自然」かどうかは、ビックデータが判断します。各社の歩みは? 桃田健史がまとめました。
ここまでやる必要があるのか……
「普通に走っている時、急にアクセルを踏んでもクルマが加速しない」
こう聞いて、その目的や、機能について、あなたはどのようなイメージを持つだろうか?
トヨタは今年(2020年)7月1日、新たな「急アクセル時加速抑制」システムを発売した。
新車向けでは「プラスサポート」という名称。7月1日発売の「プリウス」と「プリウスPHV」から搭載し、今後、対応車種を随時増やしていく。
対応には、プラスサポート専用スマートキー(1万3200円)が必要だ。
後付けの「踏み間違い防止装置」では「システムII」として発売する。対応車種は、プリウス(2015年12月~2020年6月生産のインテリジェントクリアランスソナー非装着車)から導入する。
価格は取り付け費など諸経費を含まず、税込み3万5000円。
その後、「SAI」(2009年10月~2018年2月)向けに2020年11月、「クラウン」(2008年2月~2012年12月)、「マークX」(2009年10月~2016年11月)には2021年1月に発売予定だ。
これら、プラスサポートと踏み間違い防止装置システムIIについて、筆者(桃田健史)は今年2月3日、トヨタ本社から技術的な説明を受けていた。
その際、「かなり思い切ったことをやるな」と感じたのと同時に「ついに、ここまでやらなければならないのか……」という複雑な気持ちにもなった。
なぜか?
まず停車時/低速 エンジン回転を抑制
近年、全国各地で高齢ドライバーによる「アクセルとブレーキを踏み間違い」で起こる事故が目立つ。
例えば、コンビニやスーパーなどの駐車場で、輪留めを乗り越えて店舗に激突する事例。運転者は「ブレーキを踏もうと思ったら、なぜか間違えてアクセルを踏んでしまった」と、事故後の現場検証で話すことが多い。
「アクセルとブレーキの踏み間違い」は、高齢ドライバーのみならず幅広い世代で実際に起こっています」(メーカー関係者)
「各メーカーは独自調査を行っており若い世代は間違いに気付いたら、アクセルから足を離してブレーキに踏みかえますが、高齢ドライバーは反射神経の衰えや、筋力の低下によって、そうした咄嗟の対応ができない」という。
こうした状況に対応するため、メーカー各社がまず採用したのが、ソナー(赤外線センサー)やカメラなどを使って、停車時または低速走行時(トヨタは0-15km/h)で前方や後方の障害物を検知し、急にアクセルを踏んでもエンジン回転数を一定の時間、抑制する装置だ。
トヨタの場合、2019年12月時点で新車のうち装着率は約83%に及ぶ。
さらに、既存車向けの後付け装置については、トヨタが2018年12月から製品化し、その後にダイハツなど各メーカーの採用が始まった。
そして今度、トヨタは走行中のアクセル抑制に着手したのだ。