【6気筒ケイマン比較試乗】ポルシェ718ケイマンGTS 4.0x718ケイマンGT4 どちらが理想か 後編

公開 : 2020.12.27 13:45  更新 : 2022.08.08 07:34

ポルシェ718ケイマンの中で2トップを張る、GTS 4.0とGT4。シュツットガルトで設計されたGTSと、ヴァイサッハ開発センターで磨かれたGT4、どちらがより良いのか英国編集部が比較試乗。究極の選択となりそうです。

いつも完璧なバランスにあるGTS

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
筆者は、ポルシェ718ケイマンGTSの路面処理がとても気に入った。不思議なことに、いつも完璧なバランスにある。路面の隆起部分などを通過しても乱されるほどは硬くなく、優れた乗り心地を維持しながら、確かな姿勢制御を実現している。

自然と運転する自信が湧いてくる。ケイマンGTSなら、1日中運転していても良いとさえ思える。

ポルシェ718ケイマンGT4/ポルシェ718ケイマンGTS 4.0
ポルシェ718ケイマンGT4/ポルシェ718ケイマンGTS 4.0

では鮮やかなイエローのケイマンGT4ならどうだろう。シートに腰を下ろすと、オプションのバケットシートの座り心地が素晴らしいことに気づく。

エンジンサウンドは、GTSと大きな違いはない。ワイドなカップ2タイヤを履いているが、直進状態からステアリングホイールを少し切り込むと、操舵感は不思議なことに軽くなっていく。特に良いとも悪いとも感じないが、少し気になった。

乗り心地は、GTSほど良くはない。サスペンションのスプリングレートは高くなり、タイヤのサイドウォールは薄い。当然のことではある。

同じ一般道を走らせてみると、GTSには見られなかった落ち着きのなさを感取できる。路面とのつながりは強いものの、乗り心地を相殺できるほどではない。日常的に熱くなれるドライバーズカーを探している人にとって、快適性は大切な要素だ。

それ以外の部分はどうだろう。10万ポンド(1350万円)に迫るポルシェとして、ドライビング体験はベストと呼べるだろうか。悩むけれど、筆者はGTSを読者にはオススメするかもしれない。

ドライビング体験のランクではGT4

718ケイマンGTSは一般道でとても速く、扱いやすく、安心感も高い。ドライ路面はもちろんだが、GT4の履くタイヤのトレッドパターンを考えれば、ウェット路面でもはるかに適している。多くのドライバーにとって、より良いケイマンになるだろう。

「GT」のポルシェは、多くのドライバーに向けたポルシェではない。狙った通りにクルマを操ることを心から好み、得られる充足感を重視する人なら、答えは違ってくる。ドライビング体験にランクを付けるなら、ケイマンGT4は上位に躍り出てくる。

ポルシェ718ケイマンGT4/ポルシェ718ケイマンGTS 4.0
ポルシェ718ケイマンGT4/ポルシェ718ケイマンGTS 4.0

ハイペースで走り込むほど、GT4の回頭性はさらに優れることが見えてくる。GTSでも不足することはないものの、トラクションはさらに高く、オプションのカーボンセラミック・ブレーキのフィーリングも秀逸。

クルマを攻め立てて運転すれば、濃密な路面の感覚が伝わってくる。真のドライバーズカーとして、求める以上の情報量だ。

今回はGTSもGT4も、サーキットを走らせることはなかった。一般道ではGTSよりわずかに秀でていたGT4の動的性能だが、サーキットならさらにアドバンテージが大きくなるだろう。

一般道での運転が中心で、日常的にも乗りたいのなら、一足速いケイマンとして選ぶべきはGTS。しかし運転技術を磨くために、近場のサーキット走行を多少でも考えているなら、追加費用を準備してでもGT4を選ぶ価値はある。

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