ホンダ EV開発なぜ遅れた? 電動化進む欧州、実用性とインフラに制約

公開 : 2023.05.17 06:25

最近、2台目のEV「e:Ny1」の欧州導入を発表したホンダ。電動化は確かに進んでいるものの、EV展開のペースが遅い理由として、ホンダ・モーター・ヨーロッパの奥田克久社長は実用性やインフラの制約を挙げています。

欧州EV販売に遅れ 原因はインフラ整備にあり

ホンダは、欧州で新型EV「e:Ny1」の投入を発表したが、同地域におけるEV販売は主要他社に遅れをとっている。ホンダの欧州担当社長は、現実世界でのEVの実用性の限界をその理由に挙げている。

同社の欧州部門であるホンダ・モーター・ヨーロッパの奥田克久社長は、新型e:Ny1の発表の場でAUTOCARの独占インタビューに応じ、次のように語った。「ホンダのEV開発のペースは、公共充電の利用可能性という点で、インフラ整備と同じです」

新型e:Ny1は欧州向けの量産型EVとしては2台目となる。
新型e:Ny1は欧州向けの量産型EVとしては2台目となる。    ホンダ

ホンダは長年、ハイブリッド車においてはトップランナーだったが、初の量産型EVであるホンダeの販売台数は好調と言えず、2台目のe:Ny1も今年後半からの販売開始となる。しかし、奥田社長は、この段階的な電動化プロセスが最終的に実を結ぶと予測している。

「2040年か2050年にはインフラが整備され、最終的には多くのお客様にEVを楽しんでいただけると考えています。それまでは、当社のPHEV(プラグインハイブリッド)が通勤や週末のロングドライブに適した選択肢になります。(PHEVは)とても現実的で実用的なのです」

ホンダはe:Ny1と同時に、欧州初のPHEVとなる新型CR-Vを発表している。アクセシビリティと幅広い魅力を掲げ、さまざまなパワートレイン・ソリューションを提供し続けるという意思を示した形だ。

ホンダの欧州向けラインナップは、スポーツモデルのシビック・タイプRを除く全車種に電動パワートレインが搭載されている。日本で見られるようなガソリンエンジンのみの仕様は導入せず、独自のハイブリッドシステム「e:HEV」を中心に電動化を進めている。

「わたし達がやりたかったのは、お客様に選択肢を提供することです。そのために、マルチ・パスウェイ・アプローチに取り組んでいるのです」と奥田社長は語った。

しかし、CR-V以外の車種にPHEVを導入するかどうかについては、「将来的にお客様が何を必要とされるかによります」とだけ述べ、明言を避けた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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